第1回:きっかけは“LLMに好かれたい”——でも現実はPHP8.3で白画面
「LLMのSEOを学んで、結果も自分で出せるようになりたい」——そう腹をくくった朝、私はまず“土台”の点検から始めた。
磨きたいのはコンテンツでもデザインでもなく、もっと奥のほう。サーバーの設定やバージョン、見えないところに潜む古さだ。ここが古いままだと、いくら“LLM向けの最適化”を並べても、土台ごと沈む。私は管理画面を開き、ロリポップの設定でPHPを8.3に切り替える。保存ボタンを押した指先に、少しだけ緊張が走った。
AI(画面のテキスト)「OK。まずはここから。最新のPHPに合わせて不整合がどこに出るか、見ていきましょう」
トップページを開く。
管理画面も開く。
……どちらも真っ白になった。
ブラウザ「この Web サイトに重大なエラーが発生しました。」
想像していた“最初の報酬”が、いきなり白い画面だなんて。私は椅子に背中を預け、しばらく天井を見あげた。戻るボタンを押しても何も戻ってこない。これが噂に聞く“HTTP 500”。
けれど、ここで折り返すわけにはいかない。今日の目標は、学ぶことだ。
私「まずは、何が起きているのか“見える化”します。ログ、取りましょう」
AI「wp-config.php側で“画面には出さず、サーバーに記録”の設定を。次回、そこに落ちてくるエラーを読み解きます」
私は指示どおりに設定を入れ、もう一度トップページを叩く。相変わらず白い。けれど、今は“白い理由”がどこかに書かれているはずだ。
ここで私はふと、今回のチャレンジの“重心”を再確認する。LLMに出てくるサイトを目指したいわけじゃない。LLM向けのSEOの知識と経験を、自分の手で獲得したいのだ。そのためにまず、土台を最新に上げる。白画面は、その入り口に立った合図にすぎない。
私はAIに、半分ぼやき、半分メモのつもりで打ち込む。
私「切り替えだけで真っ白はキツい」
AI「よくある入口です。テーマ側が古いと、PHP8で“非互換”が顔を出します。たとえばウィジェットの旧式コンストラクタ、未定義変数、古いreCAPTCHAの扱い、配列や文字列の古い書き方など。ログを見れば“どこから崩れているか”が分かります」
“どこから崩れているか”。その言い回しに、少し救われた。今日はここを直す回じゃない。崩れ方を知る回だ。
私はFTPを開き、テーマのフォルダ名「UNICUS」を眺める。これは昔の「Zerif Lite」を土台にしたテーマだ。長い時間を一緒に過ごしてきた相棒でもあり、いま私の行く手を真っ白にする原因でもある。なんだか少しおもしろい。
私「次回は、ログを手がかりに“どこから崩れているか”をつかまえる。そこから?」
AI「うん。原因が分かれば、functions.phpの要所を丸ごと“貼り替え”にします。人力で一行ずつ叩くと事故るので、貼るだけで通る版を渡します」
今日の私は、白い画面を前にして、一歩も進んでいないように見える。でも実際は、見えない場所に観測装置を置いた。土台を最新に上げた瞬間に何が壊れるのか、記録されるようにした。
LLMのSEOは、賢い見出しや内部リンクの話だけではない。壊れ方を知り、直し方を選ぶための“視力”を手に入れること。その“視力”のスイッチを、私は今、入れたのだ。
ブラウザはまだ白い。けれど、私の中では次のページがうっすら見えている。
次回は、ログの暗号を“人間語”に訳すところから始めよう。そこには、古い友人(テーマ)の癖や、いまのPHPが許してくれない昔の作法が、きっと手書きで残っている。
AI「では、続きはログの解読から。白画面は“想定内”。ここからが本番です」
(第2回につづく)
