血圧測定スマートウォッチ3機種を1カ月テスト:最も正確だったのはAmazfit

血圧測定機能付きスマートウォッチ3機種を1カ月間テストし、医療機器グレードの血圧計と比較。Samsung、Amazfit、YHEの各製品の精度と測定方法を詳しく解説します。

血圧測定スマートウォッチ3機種を1カ月テスト:最も正確だったのはAmazfit

ZDNETの寄稿ライターMatthew Miller氏が、血圧測定機能を持つスマートウォッチ3機種を1カ月間にわたって徹底的にテストしました。テスト対象はSamsung Galaxy Watch Ultra、Amazfit Cheetah 2 Ultra、YHE BP Doctor Fitの3機種です。世界保健機関によると、高血圧は世界で13億人が抱える健康問題であり、死亡リスクの最大要因とされています。米国心臓協会の推計では、米国成人の半数が高血圧であり、その多くが自覚していません。Miller氏は「白衣高血圧症」(医師の前で血圧が上昇する症状)を持つため、日常的な血圧モニタリングが重要です。このテストでは、Garmin Index BP Monitor(医療機器グレードの血圧計)を基準として、各スマートウォッチの測定精度を比較しました。結果、Amazfitが最も正確な測定値を示したことが明らかになりました。

このテストについて

このテストは、ZDNETの寄稿ライターであるMatthew Miller氏が実施しました。Miller氏は白衣高血圧症の症状があり、医療機関での測定では正確な数値が得られないため、自宅での継続的な血圧モニタリングが必要です。腕に巻くタイプの血圧計を毎日使うのは不便なため、日常的に装着できるスマートウォッチでの血圧測定に注目しました。

テストの目的は、市販されている血圧測定機能付きスマートウォッチの中から、医療機器グレードの血圧計に匹敵する精度を持つ製品を見つけることです。基準となる測定機器としてGarmin Index BP Monitorを使用し、これと同じ条件下で各スマートウォッチの測定値を比較しました。

このテストは、血圧管理が必要な一般ユーザーを対象としています。特に、日常的に血圧を測定したいが、従来の腕巻き式血圧計では継続が難しいと感じている人に向けた実用的な情報を提供します。医療専門家ではなく、実際のユーザー視点での評価となっています。

テストした3機種の測定方式の違い

今回テストした3機種は、それぞれ異なる技術で血圧を測定します。この違いを理解することが、結果を評価する上で重要です。

YHE BP Doctor Fitは、腕巻き式血圧計を模倣した方式を採用しています。時計本体の下部に空気袋(エアバッグ)が組み込まれており、測定時にこれが膨らんで手首を圧迫します。従来の血圧計と同じ原理で測定するため、理論上は最も正確な結果が得られると期待されました。

Samsung Galaxy Watch Ultraは、独自のアルゴリズムを使用した測定方式です。腕巻き式血圧計でキャリブレーション(較正)を行った後、センサーデータとアルゴリズムを組み合わせてリアルタイムで血圧を推定します。Samsungは米国食品医薬品局(FDA)の認可を取得しており、医療機器としての信頼性が認められています。

Amazfit Cheetah 2 Ultraも、Samsungと同様にキャリブレーション方式を採用しています。ただし、米国外でのみこの機能が利用可能です。Miller氏はAmazfitアカウントの地域設定をブラジルに変更することで、この機能を有効化しました。Amazfitの血圧測定機能は、米国では未承認ですが、他の地域では広く使用されています。

正確な比較のための測定プロセス

Miller氏は、最も正確な比較結果を得るために、厳密な測定プロセスを確立しました。このプロセスは、医療機関での血圧測定の標準的な手順に準じています。

まず、測定前に数分間、オフィスチェアに座って心を落ち着け、リラックスした状態を作ります。血圧は精神状態や姿勢によって大きく変動するため、この準備段階が重要です。測定は常に同じ椅子、同じ姿勢で行いました。

測定の順序も統一しました。最初にGarmin Index BP Monitorで基準となる測定を行い、その直後に3つのスマートウォッチで順番に測定します。すべてのスマートウォッチは同じ手首の同じ位置に装着しました。血圧は時間とともに変化するため、できるだけ短時間で連続して測定することで、条件を揃えました。

測定のタイミングも重要です。Miller氏は1日3回、決まった時間に測定を行いました。朝は仕事を始める前、ビタミン剤や薬を服用する前に測定します。次に昼間の中間時点、そして仕事の終わりに測定しました。血圧は1日の中で変動するため、異なる時間帯のデータを収集することで、より包括的な比較が可能になります。

この測定プロセスを1カ月間継続し、十分なデータを蓄積しました。単発の測定では偶然の誤差が大きく影響するため、長期間のデータ収集が精度評価には不可欠です。

各スマートウォッチの測定手順

3機種それぞれの測定手順は異なります。ここでは、実際にどのように操作して血圧を測定するかを詳しく説明します。

YHE BP Doctor Fitでの測定は最もシンプルです。時計を手首に装着した状態で、右下のボタンを押します。画面に血圧測定アプリのショートカットが表示されるので、これをタップします。次に「開始」ボタンをタップすると、時計ストラップの下に組み込まれたエアバッグが膨らみ始めます。手首が圧迫される感覚があり、数秒間かけてエアバッグが完全に膨張し、その後徐々に収縮します。測定が完了すると、画面に血圧の数値が表示されます。

Samsung Galaxy Watch Ultraでは、Samsung Health Monitorアプリを起動します。アプリ内の血圧測定オプションをタップし、「測定」ボタンを押すと測定が開始されます。測定には30秒から60秒かかります。画面の指示に従い、腕を心臓の高さに保ち、動かないようにする必要があります。

Amazfit Cheetah 2 Ultraは最も簡単です。血圧測定ユーティリティのショートカットをタップし、測定ボタンを押すだけです。こちらも測定には30秒から60秒かかります。操作が簡潔なため、日常的な使用では最も手軽です。

キャリブレーション(較正)プロセス

SamsungとAmazfitのスマートウォッチは、正確な測定のために月に1回のキャリブレーションが必要です。このプロセスは、スマートウォッチのアルゴリズムを個人の血圧特性に合わせて調整するために不可欠です。

キャリブレーションでは、スマートウォッチを装着したまま、同時に腕巻き式血圧計も装着します。この状態で血圧を3回測定します。腕巻き式血圧計が実際の血圧を測定し、同時にスマートウォッチがセンサーデータを収集します。この2つのデータを照合することで、スマートウォッチのアルゴリズムが個人に最適化されます。

キャリブレーションは初回使用時に必須で、その後は月に1回実施する必要があります。これは、体調の変化や血圧の傾向変化に対応するためです。キャリブレーションを怠ると、測定精度が低下する可能性があります。

YHE BP Doctor Fitは、エアバッグで直接測定するため、キャリブレーションは不要です。これは利便性の面では優れていますが、後述するように精度の面では課題がありました。

テスト結果:YHE BP Doctor Fitの精度

Miller氏は、腕巻き式血圧計を模倣したYHE BP Doctor Fitが最も正確だと予想していましたが、結果は期待外れでした。

BP Doctor Fitは、収縮期血圧(上の数値)で常に約15mmHg高く測定されました。一方、拡張期血圧(下の数値)は2〜4mmHgの範囲内で、比較的正確でした。例えば、Garmin Index BP Monitorで120/80mmHgと測定された場合、BP Doctor Fitは135/82mmHg程度を示しました。

さらに問題だったのは、測定の一貫性の欠如です。同じ条件下で繰り返し測定しても、結果にばらつきが見られました。また、測定エラーが頻繁に発生し、結果を得るために複数回のセッションが必要になることがありました。エアバッグの膨張が不十分だったり、手首の位置がわずかにずれたりすると、エラーが発生しやすいようです。

この結果から、エアバッグ方式は理論的には正確でも、実際の使用では手首の形状や装着位置の影響を受けやすく、安定した測定が難しいことが分かりました。

テスト結果:Samsung Galaxy Watch Ultraの精度

Samsung Galaxy Watchシリーズは世界中で数百万人が使用しており、米国外では長年血圧測定機能が提供されてきました。FDA認可も取得しているため、信頼性が期待されました。

テスト結果では、Galaxy Watch Ultraは比較的一貫した測定値を示しました。しかし、Garmin Index BP Monitorとの比較では、収縮期血圧が12〜14mmHg高く、拡張期血圧が10mmHg低く測定される傾向がありました。

例えば、Garminで120/80mmHgと測定された場合、Galaxy Watch Ultraは132/70mmHg程度を示しました。この傾向は1カ月間を通じて一貫していました。つまり、絶対値の精度は低いものの、相対的な変化を追跡するには有用である可能性があります。

測定の安定性は高く、エラーはほとんど発生しませんでした。ユーザーインターフェースも洗練されており、日常的な使用では最も快適でした。ただし、医療機器グレードの血圧計と比較すると、数値の乖離が大きいため、正確な血圧管理が必要な人には推奨しにくい結果となりました。

テスト結果:Amazfit Cheetah 2 Ultraの精度

Amazfitの結果は驚くべきものでした。Miller氏の予想に反して、3機種の中で最も正確な測定値を示したのがAmazfit Cheetah 2 Ultraでした。

Amazfitは、収縮期血圧と拡張期血圧の両方で、常に2〜4mmHgの範囲内でGarmin Index BP Monitorと一致しました。例えば、Garminで120/80mmHgと測定された場合、Amazfitは118/78mmHgから122/82mmHgの範囲内で測定されました。

この精度は、医療機器としての基準に近いレベルです。米国心臓協会によると、家庭用血圧計の許容誤差は±5mmHgとされており、Amazfitはこの基準を満たしています。

測定の一貫性も高く、同じ条件下での繰り返し測定でほぼ同じ結果が得られました。エラーの発生も少なく、日常的な使用において信頼できる測定が可能でした。

ただし、Amazfitの血圧測定機能は米国では未承認であり、アカウント設定を他国(テストではブラジル)に変更する必要があります。この点は、米国ユーザーにとっては使用上の制約となります。

注目すべきポイント

このテストから得られた重要な知見は以下の通りです。

キャリブレーションの重要性:SamsungとAmazfitはどちらもキャリブレーション方式を採用していますが、精度に大きな差が出ました。これは、アルゴリズムの質が測定精度を左右することを示しています。単にキャリブレーションを行えば正確になるわけではなく、センサーデータをどう解釈するかが重要です。

物理的測定方式の限界:YHE BP Doctor Fitは腕巻き式血圧計を模倣していますが、手首での測定は腕での測定よりも難しいことが分かりました。手首の血管は細く、骨の影響も受けやすいため、エアバッグ方式でも正確な測定が困難です。

長期的なトレンド追跡の価値:絶対値の精度が完璧でなくても、一貫した測定ができれば、血圧の変化傾向を追跡できます。特にSamsung Galaxy Watchは、数値は高めに出るものの、一貫性があるため、相対的な変化を見るには有用です。

こんな人におすすめ

日常的に血圧を管理したい人:高血圧の診断を受けており、薬の効果を確認したり、生活習慣の改善効果を見たりしたい人に適しています。特にAmazfitは医療機器に近い精度を持つため、信頼できるデータが得られます。

白衣高血圧症の人:Miller氏のように、医療機関では正確な測定ができない人にとって、自宅での継続的なモニタリングは不可欠です。スマートウォッチなら、日常生活の中で自然に測定でき、ストレスのない状態での血圧を把握できます。

健康意識の高いスマートウォッチユーザー:すでにスマートウォッチを使用しており、健康管理機能を拡張したい人に向いています。ただし、米国ユーザーの場合、Amazfitは設定変更が必要で、Samsungは精度に課題があるため、選択には注意が必要です。

よくある質問

Q1. スマートウォッチの血圧測定は医療機器の代わりになりますか?

A1. いいえ、完全な代替にはなりません。Amazfitは医療機器に近い精度を示しましたが、診断や治療の判断には医師の指示に従い、医療機器グレードの血圧計を使用すべきです。スマートウォッチは日常的なトレンド把握に適しています。

Q2. なぜAmazfitは米国で血圧測定機能が使えないのですか?

A2. 米国では医療機器としてのFDA認可が必要ですが、Amazfitはまだ取得していないためです。他国では認可されており、アカウント設定を変更すれば機能を有効化できますが、自己責任での使用となります。

Q3. キャリブレーションは本当に毎月必要ですか?

A3. はい、必要です。体調や血圧の傾向は変化するため、月1回のキャリブレーションで精度を維持できます。キャリブレーションを怠ると、測定値が実際の血圧から乖離する可能性が高まります。

出典:I wore 3 blood pressure watches for a month to find the most accurate – and this one wins(www.zdnet.com)

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