グローバル製造企業のJabilは、30カ国以上に拠点を持ち、複数の国にまたがって製造を展開しています。同社が直面していたのは、拠点ごとに異なるツール、スプレッドシート、手作業による対応が積み重なり、データが分断されている状態でした。問題を早期に発見し、拠点間で対応を調整し、確信を持って意思決定することが難しくなっていました。
同社のSAP IT ディレクターであるHarish Manohar氏は、「簡素化してから革新する」という方針を採用しました。複雑さを減らさずに新しい技術を追加すれば、さらにリスクが増すと認識したためです。Jabilは、プロセスを標準化し、可能な限り統合し、組織全体で一貫したデータ基盤を確立することを優先しました。Manohar氏は「現代の組織の基盤はデータである」と指摘し、最適化や自動化、AIの適用を行う前に、データがシステム間でシームレスに流れる必要があると強調しています。
これは要するに、判断に必要な情報が社内のどこにあるかを把握できていない、という話です
Jabilが取り組んだのは、拠点ごとに散らばった情報を統合し、意思決定に必要なデータを一箇所で見られるようにすることでした。規模が大きいから起きる問題に見えますが、従業員10名の会社でも、判断に必要な数字が複数の場所に分かれていれば、同じことが起きます。システムの問題ではなく、誰が何を見て判断するのかが決まっていない問題です。
既にある2つの数字を掛け合わせる人がいなかった
Jabilが直面した「情報が分断されていて判断が遅れる」という構造は、規模の大小に関わらず起きています。ある組織で実際に起きたことをお話しします。
その組織は、ある数値が基準を超えると収入が目減りする仕組みの中で運営していました。基準を超える見込みは、早い段階で立っていました。予測に必要だったのは、既に社内にある2つの数字を掛け合わせることだけでした。判定は一定期間の平均で決まるため、数字が動き出す前から計算できました。新しい仕組みも、追加のデータ収集も要りませんでした。
しかし、手を打たないまま推移しました。そしてある日、「明日から外部に頼む」という指示が現場に降りました。どれくらいの頻度で、いつまで続けるのかは決まらないまま走り出しました。
条件を調べ直し、社内に散らばっていた情報から必要な数字を集めて計算し直したところ、やり方を組み替えることで目減りを回避できることが分かりました。あわせて止められる費用も止めて、資金繰りが改善しました。一方で、混乱の過程で複数の人が辞めています。
情報が無かったのではありません。既にある2つの数字を突き合わせる人がいなかったのです。Jabilが「データが分断されていて意思決定が遅れる」と表現した構造は、ここでも同じでした。
計算する役割が誰にも割り振られていなかった
新しい仕組みもデータ収集も要らない判断が放置されるのは、誰がどの数字を突き合わせて何を判定するのかが、役割として明示されていないからです。数字は社内にありました。スプレッドシートにも、チャットのやり取りにも、口頭で決まったことの記録にも、判断の材料は散らばっていました。しかし、それを定期的に見て、掛け合わせて、基準と照らし合わせる担当者が決まっていませんでした。Jabilが「拠点ごとのツールやスプレッドシートが散在し、問題の早期発見が難しい」と述べたのは、誰が何を見て判断するのかが決まっていない状態を指しています。
自社にある数字を洗い出し、誰がいつ見て何を判断するかを一覧にする
スプレッドシート、チャットの履歴、口頭で決まったことのメモ、それぞれに判断の材料が入っています。それを一箇所に集めて、「この数字とこの数字を掛け合わせると、何が分かるか」を書き出してください。次に、「それを誰が、いつ見るか」を決めて、一覧に加えてください。一覧は、紙でもスプレッドシートでも構いません。形式より、誰が何を見るのかが明示されていることが重要です。
決定の前提が、担当者個人の中にしか存在しない状態では、その人が休んだり辞めたりすると、判断そのものが止まります。引き継ぎ資料に書かれるのは手順だけで、「なぜその数字を見るのか」「どの条件で判定するのか」は残りません。一覧を作ることで、判断の前提を担当者の外に出すことができます。
一覧を作っても、それを定期的に更新し続ける仕組みがなければ、再び形骸化します
一覧を作った後、実際にどう進めるかは、会社の状況、メンバー構成、職種によって変わります。どの数字を優先するか、誰に最初に見てもらうか、どの頻度で更新するかは、一社ごとに設計する必要があります。その設計は、外から一般論では出せません。
私たちUNICUSは、スプレッドシート、チャット、口頭で決まったことを統合し、誰がどの数字を見て何を判断するかを明示する支援をしています。既存の文書をAIに読ませるだけではなく、「なぜその数字を見るのか」「どの条件で判定するのか」を可視化して構造に変えるところから関わります。一覧を作って渡すのではなく、実際にその一覧を使って判断する担当者が社内に定着し、そこから更新が続いていく状態を作ります。
自社にある数字の在りかと判断の担い手を整理する支援が必要なら、ご相談ください
情報の在りかと判断の担い手を整理する支援が必要なら、ご相談ください。30分の対話で、自社にある数字を洗い出し、誰がいつ見て何を判断するかを一覧にする手順を、一緒に決めます。その場で提案や見積もりは出しません。まず、あなたの会社で何が起きているかを聞かせてください。
お問合せは簡単です。フォームの項目にご記入のうえ、ご相談の種類と社員数、無料相談のご希望日時をお選びください。後ほど、こちらからメールにて返信をさせていただきます。
ただし、対応しているのは私一人です。そのため、新規でご相談をお受けするのは月に2名までとさせていただいております。思いついたときに、すぐお問合せされることをお勧めします。
30分だけ、御社の現状をお聞かせください。お問合せフォームはこちら
サービスの内容と料金はAI実装の伴走支援、社員向けの研修はAI実務研修(対面)をご覧ください。
