Googleが2026年4月、動画編集ツール「Vids」に最新AI機能を追加。高精度な動画生成モデルVeo 3.1と音楽生成モデルLyriaを統合し、操作可能なAIアバターも導入。YouTubeへの直接投稿も可能に。
Google、動画編集ツール「Vids」に最新AI機能を追加―Veo 3.1とLyriaを統合
Googleは2026年4月、同社の動画編集ツール「Google Vids」に大規模なAI機能のアップデートを実施しました。このアップデートでは、最新の動画生成モデル「Veo 3.1」と音楽生成モデル「Lyria」が統合され、ユーザーはより高品質な動画コンテンツを簡単に作成できるようになります。Veo 3.1は、Googleが2025年末にGeminiに導入したモデルで、リアリズムと一貫性が大幅に向上しています。さらに、操作可能なAIアバター機能も追加され、動画内でキャラクターに特定の動作や発言をさせることができます。OpenAIが動画生成分野から撤退する動きを見せる中、Googleはこの分野への投資を強化しており、今回のアップデートはその姿勢を明確に示すものです。このツールは、パーティーの招待状、ビジネスプレゼンテーション、グリーティングカードなど、日常的な動画制作を想定して設計されています。
Veo 3.1による高品質な動画生成
今回のアップデートの中核となるのが、動画生成モデル「Veo 3.1」の統合です。Veo 3.1とは、Googleが開発した最新の動画生成AIで、テキストの指示から動画を自動生成する技術です。例えば、「海辺で夕日を眺める人」と入力すれば、その情景を描いた動画が作成されます。
このモデルは2025年末にGeminiに導入された際、リアリズムと一貫性の大幅な向上が約束されました。従来の動画生成AIでは、シーン間で色合いや雰囲気が変わってしまう問題がありましたが、Veo 3.1ではこれが改善されています。生成される動画は8秒間、解像度は720pです。
利用制限については、無料ユーザーは月10本の動画生成が可能です。AI Proサブスクリプション契約者は月50本、AI Ultraプラン契約者は月1,000本まで生成できます。Googleは、Veoを映画制作者向けのツールとして位置づけていますが、Vidsについては一般ユーザー向けの日常的な用途を想定しています。
Lyria音楽生成モデルの統合
動画に加えて、音楽生成AI「Lyria」もVidsに統合されました。Lyriaとは、Googleが最近発表した音楽自動生成モデルで、ユーザーの指示に基づいて楽曲を作成する技術です。
最新バージョンでは、歌詞を入力する必要すらありません。ユーザーは「明るい雰囲気」「落ち着いた感じ」といった希望する雰囲気を伝えるだけで、AIが30秒または3分間の楽曲を生成します。生成される音楽は芸術的な完成度は高くありませんが、誕生日カードやビジネスプレゼンテーションのBGMとしては十分な品質です。
動画生成と同様に、音楽生成にも利用制限があり、サブスクリプション契約者はより多くの楽曲を生成できます。
操作可能なAIアバター機能
生成AIの課題の一つは、複数のシーンで同じキャラクターを一貫して表現することの難しさです。Googleはこの問題に対して、プリセットのAIアバター機能で対応しました。
Vidsには、リアルな人物からアニメ調まで、さまざまなスタイルのAIアバターが用意されています。これらのアバターは、シーンをまたいでも外見と声が一貫しており、ユーザーは外見を一部カスタマイズすることもできます。重要なのは、これらのアバターに特定の発言や動作を指示できる点です。例えば、「製品を手に取って説明する」といった指示を出せば、アバターがその通りに動きます。
アバターは生成された動画内のオブジェクトとも相互作用できます。これにより、より自然で説得力のある動画コンテンツを作成できます。
Chrome拡張機能とYouTube統合
Googleは、Vidsの使いやすさを向上させるため、新しいChrome拡張機能をリリースしました。この拡張機能を使えば、Vidsのウェブサイトを開かなくても、画面録画やカメラ録画を即座に開始できます。
拡張機能には必要な録画ツールがすべて含まれており、録画した動画は自動的にVidsのウェブサイトに送信され、そこでさらに編集できます。これにより、アイデアを思いついたときにすぐに録画を始められます。
さらに、Vidsで作成した動画をYouTubeに直接投稿できるようになりました。従来は、動画をダウンロードしてからYouTubeにアップロードする必要がありましたが、この手間が省けます。投稿された動画はデフォルトで非公開に設定され、ユーザーは好きなタイミングで公開設定を変更できます。
できること・できないこと
この技術により、専門的な動画編集スキルがなくても、短時間で動画コンテンツを作成できるようになります。例えば、パーティーの招待状をアニメーション付きで作成したり、ビジネスプレゼンテーション用の説明動画を自動生成したり、友人へのグリーティングカードを動画で送ったりといった使い方が考えられます。AIアバターを使えば、自分が出演しなくても、プレゼンテーション動画を作成できます。
一方で、いくつかの制約もあります。生成される動画は8秒間と短く、解像度も720pに限定されています。長編の動画や高解像度のコンテンツ制作には向いていません。また、無料ユーザーは月10本までしか動画を生成できないため、頻繁に利用する場合はサブスクリプション契約が必要になります。音楽についても、芸術的な完成度は期待できず、あくまでBGMとしての利用が想定されています。将来的には、より長い動画や高解像度への対応が期待されますが、現時点では発表されていません。
私たちへの影響
このニュースは、動画コンテンツを作成したいと考えているビジネスパーソンや個人ユーザーに大きな影響を与えます。従来、動画制作には専門的なスキルや高価なソフトウェアが必要でしたが、Vidsのようなツールにより、誰でも簡単に動画を作成できる時代が到来しています。
短期的な影響については、マーケティング担当者や小規模事業者が、低コストで製品紹介動画やプロモーション素材を作成できるようになります。教育分野でも、教師が授業用の説明動画を簡単に作成できるでしょう。中長期的な影響としては、動画コンテンツの制作コストが大幅に下がり、より多くの人が動画を通じて情報発信するようになると予測されます。これにより、動画コンテンツの量は増加しますが、質の面では玉石混交になる可能性があります。
ただし、AI生成コンテンツの倫理的な問題や著作権の扱いについては、まだ議論が続いています。また、生成された動画の品質は、プロの映像制作者が作るものには及びません。用途に応じて、AIツールと人間の創造性を適切に組み合わせることが重要になるでしょう。
