GoogleがAndroid XR搭載のAIスマートグラスの試作機を公開。リアルタイム翻訳やナビゲーション、AI画像編集などをレンズ上に表示。音声のみのモデルは今秋発売予定で、ディスプレイ搭載版は開発中。
GoogleのAIスマートグラス試作機を体験、翻訳やナビを視界に表示
Googleは2025年5月に開催された開発者会議「Google I/O」で、Android XRを搭載したAIスマートグラスの試作機を公開しました。このスマートグラスは、レンズ上に情報を表示する機能を持ち、リアルタイム翻訳や道案内、天気予報などを視界に重ねて表示できます。Googleは今秋、音声のみに対応した第1世代のスマートグラスを発売予定ですが、今回公開されたディスプレイ搭載版はその次世代モデルとなります。このスマートグラスは、Warby Parker、Gentle Monster、Samsungとの提携により開発されており、Googleの技術とこれらのブランドのデザイン性を融合させています。スマートグラスは、iOSとAndroidの両方のスマートフォンと連携可能で、音声のみのモデルも将来のディスプレイ搭載版も対応します。この技術は、日常生活での情報取得の方法を大きく変える可能性があり、特に旅行者や多言語環境で働く人々にとって有用なツールとなるでしょう。
試作機の基本機能と操作方法
今回体験した試作機は、まだ製品化前の段階ですが、外部テストができる程度には完成度が高まっています。Googleの担当者によると、この試作機では異なるスタイルや形状といった外観の細部にこだわらず、ディスプレイ技術とバッテリー寿命への影響を自由に実験することに重点を置いているとのことです。そのため、この試作機は将来の製品版とは、フィット感、形状、寸法、細部の仕上げなどが大きく異なります。製品版では、メガネを頭に装着したり外したりしたことを自動検知する機能が搭載される予定ですが、試作機にはこの機能はまだ実装されていませんでした。
AIアシスタントのGeminiを起動するには、メガネフレームの右側を2秒間長押しします。起動音が鳴り、Geminiが聞き取り状態になったことを知らせます。試作機では、Geminiを起動すると同時にカメラも起動しますが、製品版ではユーザーがGemini起動時にカメラをオンにするかどうかを設定できるようになる予定です。音楽を停止するには、フレームの中央付近、こめかみをタップするような位置を1回タップします。
音声機能と音質の評価
最初のテストでは、Geminiに好きなアーティストの音楽を再生するよう依頼しました。会場が非常に騒がしかったため、音質を正確に評価することは困難でした。音量を最大にしても、音楽をクリアかつ詳細に聞き取ることは比較的難しい状況でした。この限られた体験からの初期印象としては、このスマートグラスは高品質なイヤホンの代替品としては優れていないものの、外出中、散歩中、ハイキング中、または家事をしている間に音楽を聴きたい場合には十分機能するでしょう。イヤホンを装着しない利点は、AppleのAirPodsの外部音取り込みモードと比較して、誰かが話しかけてきたときにより簡単に聞き取れることです。
カメラ機能とAI画像編集
2番目のテストでは、写真撮影ボタンを押して人物の写真を撮影しました。ディスプレイはオフになっていたため、写真はスマートフォンとスマートウォッチに転送されました。将来的には長押しで動画撮影も可能になる予定ですが、試作機ではこのオプションはテストできませんでした。動画の場合は、写真の代わりに動画のサムネイルプレビューが表示されます。
写真撮影ボタンを押さずに、Geminiに直接写真を撮るよう依頼し、結果に何らかのAI操作を加えることもできます。例えば、「写真を撮って、人物をアニメキャラクターに変えて」と言うことができます。写真はスマートフォンに送られ、その後GeminiとNano Bananaサーバーに送信され、編集されたバージョンとして戻ってきます。Wi-Fiが高負荷状態だったGoogle I/O会場では、この往復に約45秒かかりました。
ディスプレイ機能と視覚体験
ディスプレイを有効にすると、視界にシンプルなホーム画面が表示されます。試作機には、天気やGoogle I/Oイベントまでのカウントダウンを表示するウィジェットがあらかじめ読み込まれていました。Google MapsやTranslateなど、主な用途となるアプリへのクイックランチャーも作成できます。
試作機は右目の上にのみディスプレイがありましたが、このプラットフォームは片目用と両目用のディスプレイ、さらに音声のみのメガネにも対応できます。画像自体は少しぼやけていましたが、これは遠距離用に最適化されたレンズを片側に、近距離用に最適化されたレンズをもう片側に装着する処方のコンタクトレンズを使用していたためと考えられます。片目を閉じると画像の焦点が合いましたが、ほぼすぐに右目の上に眼精疲労を感じました。処方が完全に原因かどうかは不明です。
リアルタイム翻訳機能の実力
最も優れたデモの1つは、スマートフォンのGoogle Translateアプリに支えられた言語翻訳体験でした。デモンストレーターの1人が速いスペイン語を話すと、メガネは自動的に言語を検出し、ディスプレイに英語のテキストを表示しながら、Geminiが耳元で英語を話しました。世界中を旅行する人々が、この体験だけのためにメガネを購入する可能性があると感じました。
Translateは音声のみのメガネでも機能しますが、メガネにテキストが表示されないだけです。代わりに、必要に応じてスマートフォンで文字起こしを見ることができ、リアルタイムの音声フィードバックも得られます。
ナビゲーション機能の使い勝手
別のデモでは、メガネを使ったナビゲーションを試しました。実際に外出して会場を離れて精度をテストすることはできませんでしたが、どのように機能するかを理解することはできました。Geminiに目的地へのナビゲーションを依頼することでGoogle Mapsの体験を開始できます。目的地は「最寄りのコーヒーショップ」のように曖昧なものでも構いません。
Geminiはスマートフォン上でGoogle Mapsを起動し、体験が読み込まれるまでの短い遅延の後、メガネにターンバイターンの道案内が表示されます。前を向いているときは、次の曲がり角の情報が表示されます。しかし、空間内で方向を確認する必要がある場合は、地面を見下ろすと地図上の青い点が表示されます。また、スマートフォンで青い点を正しい方向に向けようとするのと同じように、左右を向いて空間内で回転することもできます。そして再び上を向くと、地図が邪魔にならずに歩き続けることができます。この体験はスマートフォンのGoogle Mapsと連動しているため、「自宅」や「職場」などの保存された目的地はすでに利用可能です。
物体認識とAI質問応答機能
メガネを使って視界内のさまざまな物体を識別し、それらについて質問することも短時間試すことができました。メガネは最初、目の前の棚にあるモネの絵画のレプリカを識別するのに苦労しましたが、これは試作機がカメラを自動的に有効にしなかったためで、アプリから再度オンにする必要がありました。それでも、左下のモネの署名に焦点を合わせるために近づいた後、Geminiがモネのように見えると言うまでに数回の質問が必要でした。
他のテストはよりスムーズで、メガネは棚の上の植物をすぐに識別し、本の中のさまざまなレシピについての質問に答えました。とはいえ、これらは今日Google Lens(またはチャットボットアプリに統合された他のAIモデル)で実行できることですが、スマートフォンを取り出さずに実行できるのは興味深いと言えるでしょう。
できること・できないこと
このスマートグラスにより、視界に情報を重ねて表示しながら日常生活を送ることが可能になります。例えば、外国語を話す人と会話しながらリアルタイムで翻訳を見たり聞いたりすること、道を歩きながら地図を見下ろさずにナビゲーション指示を受け取ること、天気やスケジュールなどの情報を一目で確認することといった使い方が考えられます。音楽再生や写真撮影、AI画像編集、物体認識と質問応答も可能です。
一方で、まだ難しいこともあります。音質は高品質なイヤホンには及ばず、騒がしい環境では音楽を十分に楽しむことは困難です。ディスプレイの画像は少しぼやけており、長時間使用すると眼精疲労を引き起こす可能性があります。物体認識の精度もまだ完璧ではなく、カメラの手動起動が必要な場合があります。AI画像編集の処理には時間がかかり、ネットワーク環境によっては45秒程度待つ必要があります。2025年後半には信頼できるテスタープログラムが拡大され、改善が進むでしょう。
私たちへの影響
このニュースは、テクノロジーに関心のある消費者や、日常的に多言語環境で働く人々、頻繁に旅行する人々に大きな影響を与えます。
短期的な影響については、今秋発売予定の音声のみのスマートグラスが、イヤホンを装着せずに音楽を聴いたり通話したりする新しい選択肢となります。リアルタイム翻訳機能は、外国語でのコミュニケーションを大幅に容易にし、言語の壁を低くする可能性があります。中長期的な影響としては、ディスプレイ搭載版が普及すれば、スマートフォンを取り出す頻度が減り、情報へのアクセス方法が根本的に変わることが考えられます。拡張現実(AR)とは、現実世界にデジタル情報を重ねて表示する技術のことですが、このスマートグラスはARの日常利用を現実のものにする一歩となるでしょう。
ただし、プライバシーへの懸念も考慮する必要があります。カメラ搭載のメガネは、周囲の人々が撮影されていることに気づかない可能性があり、公共の場での使用には社会的な配慮が求められます。また、現時点では試作機段階であり、製品版の価格や正確な発売時期は明らかになっていません。
よくある質問
Q1. このスマートグラスはいつ購入できますか?
A1. 音声のみのモデルは2025年秋に発売予定です。ディスプレイ搭載版の発売時期はまだ発表されていませんが、Googleは2025年後半に信頼できるテスタープログラムを拡大する予定です。一般販売はそれ以降になると予想されます。
Q2. 処方レンズに対応していますか?
A2. 記事では処方レンズへの対応について明確に言及されていませんが、Warby Parkerなどの眼鏡ブランドと提携していることから、製品版では処方レンズへの対応が検討されている可能性が高いです。試作機では処方コンタクトレンズ使用時に画像のぼやけが見られました。
Q3. バッテリーはどのくらい持ちますか?
A3. 具体的なバッテリー持続時間は公表されていません。Googleは試作機の段階でディスプレイ技術がバッテリー寿命に与える影響を実験中であり、製品版では最適化が進むと考えられます。音声のみのモデルはディスプレイがない分、バッテリー持続時間が長くなる可能性があります。
