iRobotの創業者が人型ロボットに警鐘を鳴らす。二足歩行ロボットの安全性に関する懸念と、動画学習だけでは器用さを習得できない理由を解説。

iRobot創業者が警告：現代の二足歩行ロボットに潜む危険性

ロボット工学の権威であり、ルンバで知られるiRobotの創業者ロドニー・ブルックス氏が、最近の人型ロボット開発に対して重要な警告を発しています。現代の二足歩行ロボットには予期せぬ危険が潜んでおり、3メートル以内には近づかないと述べています。

ブルックス氏は、現代の二足歩行ロボットが抱える本質的な問題点を指摘しています。多くのロボットは100kg以上の重量があり、転倒時の衝撃は深刻な事故につながる可能性があります。特に問題なのは、これらのロボットの挙動が必ずしも予測可能ではないという点です。

人工知能による制御が進歩しているとはいえ、実世界での不確実性に対する対応には依然として課題が残されています。例えば、床面の状態、予期せぬ外力、システムの微小な誤差など、様々な要因が安定性に影響を与える可能性があります。

また、近年注目を集めている動画学習による動作獲得についても、ブルックス氏は懐疑的な見方を示しています。単に動画を見て学習するだけでは、実世界での物理的な相互作用を理解することは困難だと指摘。本当の意味での器用さを獲得するためには、実環境での試行錯誤が不可欠だと主張しています。

さらに、現在の開発競争の過熱ぶりにも警鐘を鳴らしています。安全性の基準が十分に確立されていない中での急速な実用化は、予期せぬ事故のリスクを高める可能性があります。ブルックス氏は、より慎重なアプローチと、包括的な安全基準の策定を提言しています。

出典: Why iRobot’s founder won’t go within 10 feet of today’s walking robots（AI – Ars Technica）

出典: Why iRobot’s founder won’t go within 10 feet of today’s walking robots（arstechnica.com）