インド政府が大規模AIサミット開催、11億ドル投資ファンド設立を発表

インドが2026年2月に4日間のAIサミットを開催。OpenAI、Anthropic、Google、Microsoftなど主要企業が参加。11億ドルのAI投資ファンド設立を発表。インドのAI市場拡大が加速へ。

インド政府が大規模AIサミット開催、11億ドル投資ファンド設立を発表

インド政府は2026年2月16日から4日間、AI Impact Summitと呼ばれる大規模な人工知能サミットを開催しています。このイベントには、OpenAIのサム・アルトマンCEO、Anthropicのダリオ・アモデイCEO、GoogleのスンダーピチャイCEO、Google DeepMindのデミス・ハサビスCEOなど、世界の主要AI企業のトップが参加しています。サミットには25万人の来場者が見込まれており、インドのナレンドラ・モディ首相とフランスのエマニュエル・マクロン大統領が共同でスピーチを行う予定です。インド政府はこのサミットを通じて、国内へのAI投資を呼び込み、AI産業の中心地としての地位を確立することを目指しています。会場では11億ドル規模の政府系ベンチャーキャピタルファンドの設立が発表されるなど、具体的な投資計画が次々と明らかになっています。

インド政府が11億ドルのAI投資ファンドを設立

インド政府は、AI関連スタートアップと先端製造業への投資を目的とした11億ドル規模の政府系ベンチャーキャピタルファンドを設立すると発表しました。このファンドは、インド全土のAI関連スタートアップに投資を行います。政府系ファンドとは、国が資金を出して運営する投資基金のことです。民間の投資だけでは資金が集まりにくい分野に、政府が積極的に投資することで産業を育成する狙いがあります。

この発表は、インドがAI分野で世界的な競争力を持つ国になるための重要な一歩です。中国や米国が巨額の資金をAI開発に投じる中、インドも国家戦略としてAI産業の育成に本格的に乗り出したことを示しています。

インドは世界第2位のChatGPTユーザー国

OpenAIのサム・アルトマンCEOは、インドが週間アクティブユーザー数で1億人を超え、米国に次ぐ世界第2位のChatGPTユーザー国であることを明らかにしました。さらに、ChatGPTを学習に利用する学生の数では、インドが世界で最も多いと述べました。

この数字は、インドの人口14億人のうち約7パーセントが毎週ChatGPTを使用していることを意味します。特に若い世代がAI技術を積極的に活用しており、教育現場でのAI利用が急速に広がっていることがわかります。インドでは英語教育が普及しているため、英語ベースのAIサービスとの親和性が高いことも、この高い利用率の背景にあります。

主要企業による大型投資が相次ぐ

サミット期間中、複数の大型投資案件が発表されました。米国の投資会社Blackstoneは、インドのAIスタートアップNeysaの過半数株式を取得し、6億ドルの資金調達を主導しました。Neysaはさらに6億ドルの負債調達を計画しており、合計で2万基以上のGPUを配備する予定です。GPUとは、画像処理用の半導体チップのことで、AI開発には大量の計算処理が必要なため、高性能なGPUが不可欠です。

また、データセンター向け電力ソリューションを開発するベンガルール拠点のC2iは、Peak XVから1500万ドルのシリーズA資金調達を実施しました。AI開発には膨大な電力が必要なため、効率的な電力供給システムの需要が高まっています。

半導体大手のAMDは、インドの大手IT企業Tata Consultancy Services(TCS)と提携し、AMDのHeliosプラットフォームをベースとしたラックスケールAIインフラを開発すると発表しました。ラックスケールとは、サーバーラックと呼ばれる棚単位で設計された大規模なコンピューターシステムのことです。

Anthropicがインド初のオフィスを開設

ChatGPTの競合サービスであるClaudeを開発するAnthropicは、インドのベンガルールに同社初のインド拠点を開設すると発表しました。Anthropicによると、インドは米国に次ぐ世界第2位のClaudeユーザー国です。

この動きは、主要AI企業がインド市場を重要視していることを示しています。ベンガルールはインドのシリコンバレーと呼ばれる都市で、多くのテクノロジー企業が拠点を置いています。Anthropicの進出により、インドでのAI開発競争がさらに激化することが予想されます。

インドIT業界に対するAIの影響

一方で、AIの台頭がインドの伝統的なIT産業に与える影響についても議論されました。HCLのビニート・ナイヤールCEOは、インドのIT企業は今後、雇用創出ではなく利益確保に焦点を当てると述べました。この発言の背景には、AIがIT業界を混乱させるという懸念から、インドのIT関連株が下落していることがあります。

Khosla VenturesのビノッドコースラCEOは、ヒンドゥスタンタイムズ紙のインタビューで、IT サービスやBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)といった産業が、AIによって5年以内にほぼ完全に消滅する可能性があると述べました。BPOとは、企業が自社の業務プロセスの一部を外部の専門企業に委託することです。インドは長年、欧米企業からのBPO業務を受託することで経済成長してきました。

コースラ氏は、インドの2億5000万人の若者は、世界に向けてAIベースの製品やサービスを販売すべきだと提言しました。これは、従来の労働集約型ビジネスから、AI技術を活用した高付加価値ビジネスへの転換を促すメッセージです。

このサミットが示すインドのAI戦略

今回のAI Impact Summitは、インド政府が国家戦略としてAI産業の育成に本格的に取り組んでいることを世界に示す機会となりました。11億ドルの政府系ファンド設立、主要AI企業の参加、大型投資案件の発表など、具体的な成果が次々と発表されています。

インドには、英語を話せる高度な技術者が豊富にいること、人口が多く巨大な市場であること、デジタル化が急速に進んでいることなど、AI産業の発展に有利な条件が揃っています。今回のサミットを通じて、インドは米国や中国に次ぐ第三のAI大国を目指す姿勢を明確にしました。

短期的には、インド国内のAIスタートアップへの投資が加速し、雇用が創出されるでしょう。中長期的には、インドが世界のAI開発の重要な拠点となり、AI関連製品やサービスの輸出国になる可能性があります。ただし、従来のIT サービスやBPO業界で働く人々にとっては、AIによる業務の自動化が雇用に影響を与える可能性があり、新しいスキルの習得が求められます。

出典:All the important news from the ongoing India AI Impact Summit(techcrunch.com)

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