サムスン、スマートウォッチで認知症を早期発見する新機能を2026年に発表へ

サムスンが2026年1月のCES展示会で認知症の早期発見機能を発表予定。スマートウォッチで歩行パターンや音声、睡眠状態を分析。6百万人以上が影響を受ける認知症の予防に貢献する可能性。

サムスン、スマートウォッチで認知症を早期発見する新機能を2026年に発表へ

韓国のサムスン電子が、2026年1月に米国ラスベガスで開催されるCES展示会で、認知症の早期兆候を検出する新しい健康追跡機能「ブレインヘルス」を発表する見込みです。この機能は、スマートウォッチやスマートフォンを通じて、ユーザーの歩行パターン、音声の変化、睡眠状態などを分析します。認知症とは、記憶力や判断力が低下し、日常生活に支障をきたす病気のことです。現在、アメリカだけで600万人以上がこの病気に苦しんでいます。サムスンは、この機能の社内開発を完了し、現在は臨床検証を進めている段階です。健康追跡デバイスが身体的な状態だけでなく、認知機能の変化まで検出できるようになることで、早期発見と予防が可能になると期待されています。この技術は、高齢化が進む世界中の人々にとって、重要な健康管理ツールとなる可能性があります。

ブレインヘルス機能の詳細

サムスンが開発中のブレインヘルス機能は、複数の生体指標を組み合わせて認知症の早期兆候を検出します。具体的には、歩行パターンの変化、音声の変化、睡眠状態の3つの要素を分析します。歩行パターンとは、歩く速度や歩幅、バランスの取り方などのことです。認知症の初期段階では、これらに微妙な変化が現れることが医学的に知られています。

音声分析では、話し方のスピードや言葉の選び方、声のトーンなどを追跡します。睡眠状態については、睡眠の質や時間、睡眠中の動きなどを記録します。これらのデータを総合的に分析することで、認知機能の低下を早期に発見しようとしています。

この機能がスマートウォッチ、スマートフォン、スマートリングのどれに搭載されるかは、まだ明らかになっていません。しかし、サムスンの既存製品ラインナップを考えると、Galaxy Watchシリーズのスマートウォッチに搭載される可能性が高いと見られています。

背景と経緯

サムスンは近年、健康追跡機能の開発に力を入れてきました。2025年に発売したGalaxy Watch 8では、皮膚の抗酸化物質を測定する新しいセンサーを導入しました。このセンサーは、スマートウォッチの裏側にあり、親指を押し当てることで、緑黄色野菜に含まれるカロテノイドという物質を測定します。カロテノイドとは、健康的な老化を促進する栄養素のことです。

従来から、サムスンのスマートウォッチには血圧測定、心電図、不規則な心拍の検出機能が搭載されていました。これらは競合他社の製品にも見られる標準的な機能です。しかし、サムスンはさらに一歩進んで、就寝時間のガイダンスやレーストレーニング機能など、独自の健康管理機能を追加してきました。

認知症への取り組みは、世界的な高齢化社会の課題に対応するものです。研究者の予測によると、55歳以上の成人の42%以上が認知症を発症する可能性があります。この数字は、今後さらに増加すると見込まれています。

技術的な仕組み

ブレインヘルス機能は、スマートウォッチに搭載された各種センサーからデータを収集します。加速度センサーは歩行パターンを記録し、マイクは音声の変化を捉えます。睡眠追跡には、心拍センサーや動きを検出するセンサーが使われます。

これらのセンサーから得られたデータは、人工知能によって分析されます。AIは、正常な状態と異常な状態のパターンを学習し、認知機能の低下を示す微妙な変化を検出します。例えば、歩く速度が徐々に遅くなる、言葉を選ぶのに時間がかかるようになる、夜中に何度も目が覚めるといった変化です。

従来の認知症検査は、病院で専門医による問診や検査が必要でした。しかし、この新機能により、日常生活の中で継続的にデータを収集し、変化を早期に発見できるようになります。これは、病院に行く前の段階で異常に気づけるという点で、大きな進歩です。

できること・できないこと

この技術により、日常生活の中で認知機能の変化を継続的に監視することが可能になります。例えば、毎日の散歩中の歩き方や、家族との会話の様子、夜間の睡眠パターンなどが自動的に記録され、分析されます。異常な変化が検出された場合、ユーザーに通知が届き、医療機関への相談を促します。

さらに、サムスンは予防のためのガイダンスも提供する予定です。これには、認知機能を高めるための脳トレーニングプログラムが含まれる可能性があります。例えば、記憶力を鍛えるゲームや、注意力を向上させるエクササイズなどです。

一方で、この技術だけで認知症を確定診断することはできません。スマートウォッチが検出できるのは、あくまで「早期兆候の可能性」であり、最終的な診断には医師による専門的な検査が必要です。また、歩行、音声、睡眠という限られた指標だけで、認知機能全体を正確に評価できるかどうかは、まだ検証段階です。臨床試験の結果が公表される2026年以降に、その精度が明らかになるでしょう。

私たちへの影響

このニュースは、高齢者やその家族、そして将来の健康に関心がある全ての人に影響を与えます。認知症は早期発見が重要な病気ですが、初期症状は本人も家族も気づきにくいことが多いのです。スマートウォッチによる継続的な監視により、見逃されがちな微妙な変化を捉えられる可能性があります。

短期的な影響については、2026年のCES発表後、実際の製品化までにはさらに時間がかかると予想されます。臨床検証の結果や各国の医療機器規制の承認が必要になるためです。日本での利用開始は、早くても2026年後半から2027年になる見込みです。

中長期的な影響としては、健康追跡デバイスの役割が大きく変わることが考えられます。これまでは運動量や心拍数といった身体的な指標が中心でしたが、今後は認知機能や精神的な健康状態まで追跡できるようになるでしょう。これにより、予防医療の考え方が広まり、病気になる前に対策を取る文化が定着する可能性があります。

ただし、プライバシーの問題には注意が必要です。音声や歩行パターンといった個人的なデータが収集されるため、データの管理方法や第三者への提供について、慎重な検討が求められます。また、誤検知による不安や、過度な健康管理への依存といった新たな課題も生まれるかもしれません。

出典:Samsung’s early detection for dementia may be its killer smartwatch feature in 2026(www.zdnet.com)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です