サムスンの1,800ドルXRヘッドセット、デュアルモニター代替で生産性向上に成功

米ZDNETの記者が、サムスンの1,800ドルのXRヘッドセット「Galaxy XR」をデュアルモニターの代わりに使用し、生産性向上に成功。Apple Vision Proの半額で、仮想デスクトップ機能により最大3画面の作業環境を実現。

サムスンの1,800ドルXRヘッドセット、デュアルモニター代替で生産性向上に成功

米ZDNETの記者が、サムスンの「Galaxy XR」ヘッドセットを2週間使用し、デュアルモニターの代わりとして活用できることを実証しました。価格は1,800ドル(約27万円)で、Apple Vision Proの半額です。記者は以前、3,500ドルのApple Vision Proを購入しましたが、価格に見合う生産性向上が得られず返品していました。Galaxy XRでは、仮想デスクトップアプリを使うことで、ノートパソコン1台から最大3つの大型仮想ディスプレイを作り出せます。この機能により、出張時でも複数画面での作業環境を持ち運べるようになりました。記者は、サムスンが今後も改善を続け、必要なアプリが増えることを期待して、このヘッドセットを使い続けることを決めました。XRヘッドセットとは、現実世界にデジタル情報を重ねて表示する拡張現実(XR)技術を使った装置のことです。

Galaxy XRの主な機能と価格

サムスンのGalaxy XRヘッドセットは、1,800ドルで販売されています。これはApple Vision Proの3,500ドルと比べて半額以下です。このヘッドセットでは、Android XRという新しいプラットフォームが動作します。Android XRとは、グーグルとサムスンが共同開発した、拡張現実用のオペレーティングシステムのことです。スマートフォンのAndroidと同じように、様々なアプリを動かせます。

記者は、このヘッドセットを使って、Google ドキュメント、Google スプレッドシート、Microsoft Officeなどのアプリで記事執筆や表計算作業を行いました。これらのアプリは、Android XR用に最適化されており、問題なく動作したと報告しています。また、サムスンのウェブブラウザ「Samsung Internet」も完璧に機能し、ウェブベースの作業もスムーズに行えました。

仮想デスクトップ機能の実力

Galaxy XRの最大の特徴は、「Virtual Desktop」という25ドルのアプリを使った仮想デスクトップ機能です。このアプリをインストールすると、WindowsやMacのパソコンを無線で接続し、ヘッドセット内に最大3つの大型仮想ディスプレイを表示できます。記者は、普段ノートパソコン1台だけで出張していましたが、Galaxy XRを使うことで、2つの追加ディスプレイを持ち運んでいるのと同じ作業環境を実現できました。

仮想ディスプレイは、サイズを自由に変更でき、湾曲させたり平面にしたり、距離を調整したりできます。記者は、フォントや表示が非常に鮮明で、長時間の集中作業でも目の疲れを感じなかったと述べています。ただし、Virtual Desktopには時々動作が不安定になる問題があり、完璧ではないとも指摘しています。

空間配置機能で効率アップ

Galaxy XRには、最大5つのアプリを同時に開いて、自分の周囲の空間に配置できる機能があります。これにより、頭や体を動かすだけで別のアプリに切り替えられ、ウィンドウを開いたり閉じたりする手間が省けます。例えば、正面にメールアプリ、右側に文書作成アプリ、左側にスプレッドシートを配置するといった使い方ができます。

ただし、この機能にはいくつかの課題があります。ウィンドウの配置が難しく、理想的な位置に並べるのに時間がかかることがあります。さらに、ヘッドセットを外して再び装着すると、すべてのウィンドウが初期位置にリセットされてしまい、再配置が必要になります。記者は、ウィンドウの位置を保存する機能や、ワンボタンでデフォルト配置に戻す機能の追加を強く望んでいます。

操作方法と入力デバイス

Galaxy XRは、手の動きと視線で操作できるハンドトラッキング機能を搭載しています。しかし、記者によると、この機能の信頼性は約70%で、効率的な作業には不十分だと感じました。そのため、Bluetoothキーボードとマウスを接続して使用することを推奨しています。外部入力デバイスを使うことで、ノートパソコンと同じように確実に操作できます。

ヘッドセットの右側には、小さなカバーで隠されたUSB-Cポートがあります。このポートは充電には使えませんが、他の用途に活用できます。カバーは薄いグレー色で、知らないと見逃してしまうかもしれません。カバーの後ろ側を押すと前側が持ち上がり、開けることができます。

背景と経緯

記者は以前、アップルのVision Proを購入し、MacBook Proと組み合わせて複数画面の作業環境を作り出せることに感銘を受けました。しかし、わずか2週間後、3,500ドルという価格が生産性の向上に見合わないと判断し、返品しました。Vision Proは高性能ですが、価格が高すぎて、多くの人にとって手が届きにくい製品でした。

サムスンがGalaxy XRを半額で発表したとき、記者はすぐに興味を持ちました。より手頃な価格で、同様の生産性向上が得られる可能性があったからです。過去2週間、記者はこのヘッドセットを徹底的にテストし、出張中にAppleやWindowsのノートパソコンを拡張して使う実験を行いました。また、Android XR用のネイティブアプリも試しました。

できること・できないこと

Galaxy XRを使うと、ノートパソコン1台から最大3つの大型仮想ディスプレイを作り出せます。例えば、中央の画面でメインの作業をしながら、左側の画面でメールを確認し、右側の画面で資料を参照するといった使い方が可能です。Google ドキュメントやMicrosoft Officeなどの一般的なオフィスアプリは問題なく動作し、記事執筆や表計算作業を快適に行えます。ウェブブラウジングも通常のパソコンと同じように使えます。

一方で、まだ改善が必要な点もあります。サムスンのGalaxy Bookシリーズ以外のパソコンとは、直接接続できません。そのため、WindowsやMacのパソコンを使う場合は、Virtual Desktopという別売りアプリ(25ドル)が必要です。また、このアプリは時々動作が不安定になり、画面がカクついたり遅延したりすることがあります。ハンドトラッキングの精度も約70%で、確実な操作にはキーボードとマウスが必要です。ウィンドウの位置が保存されず、ヘッドセットを外すたびに再配置が必要になる点も不便です。今後のソフトウェアアップデートで、これらの問題が改善されることが期待されます。

私たちへの影響

このニュースは、複数のモニターを使って仕事をしている人や、出張が多いビジネスパーソンに大きな影響を与えます。Galaxy XRを使えば、物理的なモニターを持ち運ばなくても、どこでも複数画面の作業環境を作り出せます。特に、狭いホテルの部屋や飛行機の中など、物理的なスペースが限られた場所での作業に便利です。

短期的には、1,800ドルという価格がネックになるかもしれません。これは約27万円で、高性能ノートパソコン1台分に相当します。また、現時点では、Virtual Desktopアプリの不安定さや、ウィンドウ配置の手間など、使い勝手の面で改善の余地があります。すぐに購入を決断するのではなく、ソフトウェアのアップデートや対応アプリの増加を待つのも一つの選択肢です。

中長期的には、XRヘッドセットが一般的な仕事道具になる可能性があります。サムスンやグーグルが継続的に改善を行い、より多くのアプリが対応すれば、物理的なモニターの必要性が減るかもしれません。ただし、長時間の装着による疲労や、公共の場での使用に対する社会的な受容など、解決すべき課題も残っています。現時点では、早期採用者や技術愛好家向けの製品と言えるでしょう。

出典:I invested in Samsung’s $1,800 XR headset to replace my dual monitors – and it’s paying off big time(www.zdnet.com)

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