Anthropic「Claude Code」が年間収益10億ドル突破、AIコーディングツールの新時代

AnthropicのAIコーディングツール「Claude Code」が急成長。年間経常収益10億ドルを突破し、同社の収益の12%を占める。エンジニアの働き方を変え、非コーディング分野への展開も開始。

Anthropic「Claude Code」が年間収益10億ドル突破、AIコーディングツールの新時代

2025年、Anthropic社のAIコーディングツール「Claude Code」が急速に普及しています。同製品は2024年11月に年間経常収益(ARR)10億ドルを達成し、2025年末までにさらに1億ドル以上成長しました。これは、製品発表から1年足らずでの快挙です。Claude Codeは、エンジニアがプログラミング言語で書くのではなく、自然な言葉で指示を出すだけでコードを生成できるツールです。特に2025年初頭に発表された最新AIモデル「Claude Opus 4.5」により、その性能が飛躍的に向上しました。現在、Anthropic社内では技術系社員のほぼ100%がClaude Codeを日常的に使用しており、営業チームの半数も毎週利用しています。この成功を受けて、同社はコーディング以外の業務にも対応する「Cowork」という新製品を発表し、AI支援ツールの適用範囲を広げています。

Claude Codeの急成長と市場での位置づけ

Claude Codeは2024年初頭に発表されたAIコーディングツールです。発表当初、Anthropic社は「エージェント型コーディング」という新しい概念が受け入れられるか確信を持てませんでした。エージェント型とは、開発者が「ログイン機能を追加して」といった自然な言葉で指示を出すと、AIが自動的にコードを書き、ファイルを編集し、必要な作業を完了させる仕組みのことです。

2024年11月、Claude Codeは年間経常収益10億ドルを達成しました。年間経常収益とは、サブスクリプション型サービスが1年間で得られる収益の見込み額のことです。2025年末時点で、この数字はさらに1億ドル以上増加し、Anthropic全体の収益約90億ドルの12%を占めるまでになりました。これは同社の企業向けビジネスに次ぐ規模であり、最も急成長している分野の一つです。

競合他社も同様の成長を見せています。Cursor社も2024年11月に年間経常収益10億ドルを達成しました。Cursorは、AnthropicやOpenAIなど複数のAIモデルを選んで使えるコーディングツールです。OpenAI、Google、xAIも独自のAIコーディング製品を開発しており、市場競争が激化しています。

技術的な進化と転換点

AIコーディングツールは、2021年から2024年まで主に「オートコンプリート」機能でした。これは、開発者がコードを入力すると、次の数行を予測して提案する仕組みです。しかし2025年初頭、状況が大きく変わりました。

転換点となったのは、Anthropicの最新AIモデル「Claude Opus 4.5」の登場です。スタンフォード大学のAI講師であり、スタートアップWorkeraのCEOであるKian Katanforoosh氏は、「最近のコーディング能力の段階的な向上を見せたのはClaude Opus 4.5だけだ。人間のようにコーディングしているのではなく、より良い方法を見つけ出したように感じる」と述べています。

Claude Code責任者のBoris Cherny氏自身の使用状況も、この進化を物語っています。製品発表当初、彼は自分のコードの5%をClaude Codeで書いていました。2024年5月には30%に増え、Opus 4.5登場後の2か月間では100%になりました。彼は毎日コーディングをしています。

Anthropic社内での活用と組織変化

Claude Codeは、Anthropic社内で予想外の広がりを見せています。製品発表前の社内レビューで、CEOのDario Amodei氏は「社員に使用を強制しているのか」と尋ねたほどです。実際には強制ではなく、自然に普及していました。

特に驚きだったのは、技術系社員以外への広がりです。Cherny氏は「3か月前に知って驚いたのは、Anthropicの営業チームの半数が毎週Claude Codeを使っていることだ」と語っています。営業チームは、顧客データの整理や簡単な分析ツールの作成などにClaude Codeを活用しています。

Cherny氏によると、最も生産性の高いClaude Codeユーザーは、複数のタスクを同時に進める人たちです。一つのタスクをClaude Codeに任せて、別のタスクを開始し、さらに次のタスクに移る。そして最初のタスクに戻って進捗を確認する。このような働き方が、新しい標準になりつつあります。

Cowork:非コーディング分野への展開

2025年初頭、AnthropicはClaude Codeの成功を受けて「Cowork」という新製品を発表しました。Coworkは、「コーディングをしない人のためのClaude Code」と位置づけられています。

Coworkは、ユーザーのコンピューター上のファイルを管理し、SlackやGoogle Sheetsなどのソフトウェアと連携できます。コーディングの知識がなくても、自然な言葉で指示を出すだけで、データの整理、レポートの作成、複数のアプリケーション間でのデータ移動などを自動化できます。

Cherny氏自身もCoworkを使い始めており、「エンジニアとして、これまでで最も楽しい時期だ。退屈な作業をする必要がないから」と述べています。同社は、この働き方の変化がすべての知識労働者に広がると予測しています。

できること・できないこと

Claude Codeにより、開発者は自然な言葉で指示を出すだけでコードを生成できます。例えば、「ユーザー認証機能を追加して、パスワードリセット機能も含めて」と指示すると、必要なコードを書き、適切なファイルに配置し、関連する設定を更新します。複数のファイルにまたがる大規模な変更も、一度の指示で完了できます。

Coworkでは、「先月の売上データをSlackから取得して、Excelにまとめて、上位10件の顧客をリストアップして」といった指示が可能です。複数のアプリケーションを横断する作業を自動化できます。

一方で、完全に自律的に動作するわけではありません。初期バージョンでは、エラーを起こしたり、無限ループに陥ったりすることがありました。現在も、複雑なタスクでは途中で確認や修正が必要になることがあります。また、セキュリティ上の理由から、重要なシステムへのアクセスには制限があります。Anthropicは継続的に改善を進めており、今後数か月でさらに信頼性が向上する見込みです。

私たちへの影響

このニュースは、ソフトウェア開発者だけでなく、幅広い知識労働者に影響を与えます。開発者にとっては、コーディングの方法が根本的に変わりつつあります。従来は一行一行コードを書いていましたが、今後は高レベルの指示を出し、AIが生成したコードをレビューする役割に移行していきます。

短期的な影響としては、開発速度の大幅な向上が挙げられます。Cherny氏のように、すべてのコードをAIで生成する開発者も現れています。これにより、より多くの機能を短期間で開発できるようになります。

中長期的な影響としては、プログラミングスキルの定義が変わる可能性があります。コードを書く技術よりも、何を作るべきか、どう指示を出すか、生成されたコードの品質をどう評価するかが重要になるでしょう。また、Coworkのような製品により、コーディングの知識がない人でも、これまで開発者に依頼していた作業を自分で完了できるようになります。

ただし、AIツールへの過度な依存には注意が必要です。基本的なプログラミングの理解がなければ、AIが生成したコードの問題点を見抜けません。また、企業はセキュリティとプライバシーの観点から、AIツールの使用に関するガイドラインを整備する必要があります。Anthropicは2028年までに黒字化を目指しており、Claude Codeがその重要な収益源になると見込んでいます。

出典:How Claude Code Is Reshaping Software—and Anthropic(www.wired.com)

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