CES 2026が閉幕へ、AIロボットと多様な技術が集結した4日間

米ラスベガスで開催中のCES 2026が最終日を迎えました。AI搭載ロボットや家庭用機器など多様な技術が発表され、特に「フィジカルAI」という言葉が業界標準として定着しつつあります。

CES 2026が閉幕へ、AIロボットと多様な技術が集結した4日間

米国ラスベガスで開催されていた世界最大級の家電見本市「CES 2026」が、2026年1月10日に最終日を迎えました。CESとは、毎年1月に開催される消費者向け技術製品の展示会のことです。今年は特にAI技術とロボット工学が中心となり、NvidiaやAMDといった半導体大手の発表から、AmazonやGoogleによる実世界でのAI活用まで、幅広い技術が披露されました。

会場では「フィジカルAI」という新しい言葉が頻繁に使われました。これは、デジタル空間だけでなく、ロボットなど物理的な機器に組み込まれたAI技術を指します。Nvidia CEOのジェンセン・ファン氏の影響力により、この用語が業界標準として定着しつつあります。以前は「ロボティックAI」や「エンボディドAI」といった言葉が混在していましたが、今回のCESで統一された形です。

展示会では、LGの家事支援ロボット「CLOid」や、カウンタートップ型のニトロコーヒーマシン、さらには子どものいない人向けの遺産管理サービスまで、多様な製品とサービスが発表されました。AI技術だけでなく、従来型の革新的な家電製品も依然として重要な位置を占めています。この展示会は、今後1年間の技術トレンドを占う重要なイベントとして、世界中の企業と報道関係者が注目しています。

主要な発表内容と注目製品

CES 2026では、家庭用ロボットから業務用機器まで、幅広い製品が展示されました。LGが発表した「CLOid」は、洗濯物を畳んだり、朝食を作ったり、家の中を巡回して異常を検知したりする多機能ロボットです。このロボットはAI技術を活用し、家事の大部分を自動化することを目指しています。

XBrew Labは、カウンタートップ型のニトロ飲料マシン「EverNitro」を発表しました。ニトロコーヒーとは、窒素ガスを注入してクリーミーな泡を作り出したコーヒーのことです。従来のカートリッジ式マシンと比べて、廃棄物が少なく、コストも抑えられる設計になっています。この製品は、AI技術を使わない革新的な家電製品も依然としてCESの重要な要素であることを示しています。

Ankerの「eufyMake E1」は、UV光を使って特殊なインクを物体に直接印刷できるプリンターです。スマートフォンケース、水筒、コースター、金属板など、さまざまな素材に画像やパターンを印刷できます。UV印刷技術自体は以前から存在していましたが、産業用途で使われ、価格も高額でした。この製品は2,299ドルで予約可能で、Kickstarterで既に4,600万ドルの資金を集めています。

新しい技術用語の定着

今回のCESで最も注目すべき変化の一つは、「フィジカルAI」という用語が業界標準として定着したことです。この言葉は、コンピューター画面の中だけで動作するAIではなく、ロボットや機械など物理的な装置に組み込まれたAI技術を指します。例えば、工場で部品を組み立てるロボットアームや、家庭で掃除をするロボット掃除機などが該当します。

これまで業界では、同じ概念を指すのに「ロボティックAI」「エンボディドAI」など複数の用語が使われていました。しかし、半導体大手Nvidiaのジェンセン・ファンCEOが「フィジカルAI」という言葉を積極的に使用したことで、この用語が広く受け入れられるようになりました。Nvidiaは、AIチップの分野で圧倒的なシェアを持つ企業であり、同社の影響力が業界用語の統一に貢献した形です。

この用語の定着は、AI技術が新しい段階に入ったことを示しています。これまでのAIは主にソフトウェアとして、画像認識や音声認識などに使われてきました。しかし今後は、実際に物を動かしたり、物理的な作業を行ったりするAIが主流になると予想されています。

多様性を示す展示内容

CES 2026では、AI技術以外にも注目すべき製品やサービスが多数発表されました。その一つが「Childfree Trust」という、子どものいない人向けの遺産管理サービスです。創業者のジェイ・ジグモント博士は、認定ファイナンシャルプランナーとして長年働く中で、成人の約20%が子どもを持たず、人生の終末期における選択肢が限られていることに気づきました。

このサービスは、医療と財務に関する委任状の管理、遺産の執行者や受託者としての役割を提供します。目的は、子どものいない人々が終末期のケアを管理しやすくすることと、高齢者虐待を減らすことです。24時間体制のサポートを提供し、今週からサブスクリプション形式でサービスを開始しました。この発表は、CESが単なる技術展示会ではなく、社会的課題に対するソリューションを提示する場でもあることを示しています。

「MyCommuters」というプラットフォームも注目を集めました。これは、企業がオフィスの最適な立地を見つけるためのツールです。創業者のギヨーム・アシエ氏は、パリで商業用不動産を販売していた際、企業の経営陣が自分たちの都合でオフィスを選び、従業員の通勤時間を考慮していないことに気づきました。MyCommuttersは、都市内の人の移動に関する複数のデータセットを統合し、従業員の平均通勤時間とコストに基づいて不動産を評価できるようにします。

できること・できないこと

今回のCESで発表された技術により、家庭での日常作業の多くが自動化される可能性が見えてきました。例えば、LGのCLOidロボットは、洗濯物を畳んだり、簡単な朝食を準備したりできます。eufyMake E1プリンターを使えば、自宅で小規模なビジネスを始めることも可能です。オリジナルデザインのマグカップやスマートフォンケースを作成し、オンラインで販売するといった使い方が考えられます。

一方で、これらの技術にはまだ限界もあります。家事支援ロボットは、複雑な調理や細かい掃除など、人間の判断が必要な作業には対応できません。UV印刷機は2,299ドルという価格で、趣味として始めるには高額です。また、フィジカルAI技術全般について、安全性や信頼性の面で、まだ十分に検証されていない部分があります。2026年後半から2027年にかけて、これらの製品が実際に市場に出回る中で、改善が進むでしょう。

MyCommuttersのようなビジネス向けツールは、既にフランスで企業の従業員満足度を向上させる効果を示していますが、他の国や文化圏でも同様の効果が得られるかは未知数です。Childfree Trustのようなサービスも、法律や文化の違いにより、国際展開には時間がかかる可能性があります。

私たちへの影響

このニュースは、消費者と企業の両方に大きな影響を与えます。一般消費者にとっては、今後1年から2年の間に、より高度な家電製品やサービスが市場に登場することを意味します。特に、家事の自動化や個人向けサービスの選択肢が増えることで、生活の質が向上する可能性があります。

短期的な影響については、2026年後半から2027年初頭にかけて、今回発表された製品の一部が実際に購入可能になります。ただし、初期製品は価格が高く、機能も限定的である可能性が高いです。中長期的な影響としては、フィジカルAI技術の普及により、家庭用ロボットが一般的になり、価格も下がっていくことが予測されます。5年後には、ロボット掃除機のように、家事支援ロボットが多くの家庭に普及しているかもしれません。

ただし、これらの技術が実際に日常生活に溶け込むには、いくつかの課題があります。プライバシーの問題、技術の信頼性、そして価格の手頃さです。また、すべての人がこれらの技術を必要としているわけではありません。自分のライフスタイルや予算に合わせて、慎重に選択することが重要です。企業にとっては、MyCommuttersのようなツールが、従業員の満足度向上とコスト削減の両立を可能にする可能性があります。

出典:CES 2026: Follow live for the best, weirdest, most interesting tech as this robot and AI-heavy event wraps up(techcrunch.com)

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