OpenAIが2024年12月、ChatGPTで年間利用状況を振り返る新機能を開始。Spotify Wrappedのように、個人の使い方に基づいた賞や詩、画像を生成。米国など英語圏5カ国で無料・有料プラン利用者向けに提供開始。
ChatGPTが年間振り返り機能を開始、Spotify風に個人の使い方を可視化
OpenAIは2024年12月、ChatGPTで1年間の利用状況を振り返る新機能「Your Year with ChatGPT」の提供を開始しました。この機能は、音楽配信サービスSpotifyの人気機能「Spotify Wrapped」にヒントを得たもので、利用者一人ひとりの使い方に合わせて個別化された内容を提供します。米国、カナダ、英国、オーストラリア、ニュージーランドの英語圏5カ国で、無料プラン、Plusプラン、Proプランの利用者を対象に展開されています。この機能では、ChatGPTとの会話内容に基づいて「賞」が授与されたり、関心のあるトピックをテーマにした詩や画像が自動生成されたりします。年末の振り返りコンテンツは多くのアプリで人気を集めていますが、AI チャットボットがこの形式を採用するのは注目すべき動きです。OpenAIは、この機能がプライバシーに配慮し、利用者が自分でコントロールできる軽量な体験として設計されていると説明しています。
新機能の具体的な内容と仕組み
「Your Year with ChatGPT」は、利用者がこの1年間にChatGPTをどのように使ってきたかを、視覚的で楽しい形式で振り返る機能です。OpenAIによると、この機能を利用するには、設定で「保存された記憶を参照」と「チャット履歴を参照」のオプションをオンにしていること、そして一定以上の会話活動があることが条件となります。
機能の中心となるのは、利用者の使い方に基づいて授与される「賞」です。例えば、問題解決のためにChatGPTを使ったり、概念やアイデアを練り上げたりした場合、「Creative Debugger(創造的なデバッガー)」という賞が贈られます。デバッガーとは、プログラムの誤りを見つけて修正する作業のことですが、ここでは広く問題解決者という意味で使われています。
さらに、利用者の関心トピックに焦点を当てた詩と画像も自動生成されます。これらはすべて、ChatGPTとの過去の会話内容を分析して作成されるため、一人ひとり異なる内容になります。Spotifyの年間振り返り機能と同様に、カラフルで目を引くグラフィックスが使用されています。
背景と経緯
この機能の背景には、Spotify Wrappedの成功があります。Spotifyは毎年12月、利用者の1年間の音楽視聴データをまとめた「Wrapped」を公開しており、これがSNSで大きな話題となり、Spotifyのブランド認知度向上に貢献してきました。最も聴いたアーティストや楽曲、総再生時間などが個人ごとにカスタマイズされた形で表示され、多くの人がこれをSNSでシェアしています。
近年、この「年間振り返り」形式は他の多くのアプリやサービスにも広がっています。動画配信サービス、ゲームプラットフォーム、SNSなど、様々な分野で同様の機能が提供されるようになりました。OpenAIもこのトレンドに乗り、ChatGPTの利用体験をより楽しく、個人的なものにしようとしています。
ChatGPTは2022年11月の公開以来、急速に利用者を増やしてきました。仕事での文書作成、学習支援、プログラミングのサポート、日常的な質問への回答など、幅広い用途で使われています。この新機能は、利用者との関係を深め、ChatGPTが単なるツールではなく、1年を通じて寄り添うパートナーのような存在であることを印象づける狙いがあると考えられます。
利用できる人と利用できない人
この機能は、現時点では限定的な提供となっています。対象となるのは、米国、カナダ、英国、オーストラリア、ニュージーランドの英語圏5カ国の利用者です。日本を含む他の国での提供については、OpenAIから発表されていません。
プランについては、無料プラン、月額20ドルのPlusプラン、月額200ドルのProプランの利用者が対象です。一方、Team(チーム)プラン、Enterprise(企業)プラン、Education(教育機関)プランのアカウントでは利用できません。これは、ビジネスや教育での利用では、個人的な振り返り機能が適切でない場合があるためと考えられます。
また、設定で「保存された記憶を参照」と「チャット履歴を参照」の両方のオプションをオンにしている必要があります。これらの設定をオフにしている場合、ChatGPTは過去の会話を参照できないため、年間振り返りを作成できません。さらに、一定以上の会話活動が必要とされていますが、具体的な基準は公開されていません。
プライバシーへの配慮と利用者のコントロール
OpenAIは、この機能が「軽量で、プライバシーを重視し、利用者がコントロールできる」ものとして設計されていると強調しています。これは、AIサービスにおけるプライバシーへの懸念が高まっている中で、重要な配慮です。
具体的には、年間振り返りはChatGPTアプリのホーム画面で宣伝されますが、自動的に開かれることはありません。利用者が自分で選択して見る形式になっています。見たくない人は無視することができ、強制的に表示されることはありません。
また、ChatGPTに直接「Your Year with ChatGPT」と尋ねることで、いつでもこの機能を呼び出すことができます。つまり、利用者が主導権を持って、自分の好きなタイミングで振り返りを見ることができる設計になっています。
ただし、OpenAIは2026年にChatGPTで成人向けコンテンツを受け入れる方針を発表しており、来年以降の年間振り返りがどのような内容になるかは注目されます。プライバシーと適切なコンテンツ表示のバランスをどう取るかが課題となるでしょう。
利用方法とアクセス方法
「Your Year with ChatGPT」は、ChatGPTのウェブアプリ版と、iOS・Android向けのモバイルアプリの両方で利用できます。アクセス方法は簡単で、対象となる利用者のホーム画面に表示される案内から開くか、ChatGPTに「Your Year with ChatGPT」と直接入力することで体験できます。
モバイルアプリでは、スマートフォンの画面に最適化された形で表示され、タップやスワイプで内容を進めていく形式になっていると考えられます。ウェブアプリでも同様の体験ができるため、パソコンでもスマートフォンでも、好きなデバイスで振り返りを楽しむことができます。
私たちへの影響
このニュースは、ChatGPTを日常的に使っている人にとって、自分の1年間の活動を新しい視点で振り返る機会を提供します。どのような目的でChatGPTを使ってきたか、どんなトピックに関心を持っていたかを可視化することで、自分自身の学びや成長を確認できるでしょう。
短期的には、年末の話題として友人や同僚とシェアする楽しみが生まれます。Spotify Wrappedと同様に、SNSで自分の「賞」や生成された詩を共有する人が増える可能性があります。これにより、ChatGPTの認知度がさらに高まり、まだ使ったことのない人が試してみるきっかけになるかもしれません。
中長期的には、AIサービスが単なる機能的なツールから、より個人的で感情的なつながりを持つ存在へと進化していく流れの一部と言えます。年間振り返り機能は、利用者とサービスの関係を深め、継続利用を促す効果があります。今後、他のAIサービスも同様の機能を導入する可能性が高いでしょう。
ただし、プライバシーへの配慮は引き続き重要です。自分の会話履歴がどのように使われているか、どこまで保存されているかを理解し、必要に応じて設定を調整することが大切です。また、現時点では英語圏のみの提供なので、日本の利用者は今後の展開を待つ必要があります。
