Googleが2026年1月、ChromeブラウザにAIエージェント「Auto Browse」の提供を開始。ウェブ上の面倒な作業を自動化する機能で、AI ProとAI Ultra会員が利用可能。ブラウジング作業の自動化により、フォーム入力や情報収集などの時間を大幅に削減できます。
Google、Chromeに自動ブラウジングAI「Auto Browse」を搭載開始
Googleは2026年1月、主力ブラウザChromeに新しいAI機能「Auto Browse」の提供を開始しました。Auto Browseとは、ウェブブラウジング中の面倒な作業を自動で行ってくれるAIエージェントのことです。例えば、複数のウェブサイトから情報を集めたり、フォームに情報を入力したりといった作業を、人間の代わりにAIが実行します。この機能は、月額課金サービスのAI ProまたはAI Ultra会員向けに提供されます。AI Proでは1日20回、AI Ultraでは1日200回まで利用できます。これまでChromeに搭載されていたGemini AIは、質問に答えるだけの機能でしたが、Auto Browseの登場により、実際にブラウザを操作して作業を完了させることが可能になりました。この変化は、AIが「対話する道具」から「作業を代行する助手」へと進化したことを意味します。
Auto Browseの主な機能と使い方
Auto Browseは、Chromeブラウザの上部に表示されるAIボタンから起動します。このボタンは数ヶ月前から存在していましたが、今回のアップデートで機能が大幅に拡張されました。起動すると、画面が分割表示される「サイドパネル」モードになり、左側でAIが作業する様子を見ながら、右側で別の作業を続けることができます。
Auto Browseに作業を依頼すると、AIは必要に応じて新しいタブを開きます。このとき、AIが操作しているタブには特別なアイコンが表示されるため、どのタブでAIが作業中かすぐに分かります。作業中のタブを前面に表示しておく必要はなく、複数のAI作業を同時に実行することも可能です。作業が完了したとき、または人間の判断が必要になったときに、AIが通知を送ります。
さらに、ChromeのGemini AIは、Gmail、カレンダー、YouTube、マップ、ショッピング、フライト検索といったGoogleサービスに直接アクセスできるようになりました。これにより、例えばメールの内容を確認しながらカレンダーに予定を追加するといった、複数のサービスをまたぐ作業も一度に処理できます。
背景と経緯
Googleは2025年後半から、ChromeブラウザへのAI統合を段階的に進めてきました。当初は、ブラウザ上でGemini AIに質問できる程度の機能でしたが、今回のアップデートで自律的に作業を行う「エージェント型AI」へと進化しました。
この動きは、OpenAIが発表した「Atlas」など、他社の自律型AIエージェントに対抗するものです。AI業界では現在、単に質問に答えるだけでなく、実際にタスクを完了させる「エージェント型AI」の開発競争が激化しています。Googleは実験的プロジェクト「Project Mariner」で得た知見を活用し、最新のGemini 3モデルをベースにAuto Browseを開発しました。
Chromeは世界で最も使われているブラウザであり、市場シェアは60%を超えています。この巨大なユーザー基盤にAIエージェント機能を提供することで、GoogleはAI技術の実用化において大きな一歩を踏み出したと言えます。
技術的な仕組みと動作方法
Auto Browseは、クラウド上で動作するGemini 3 AIモデルによって制御されています。ローカル(あなたのパソコン上)ではなく、Googleのサーバー上で処理が行われる仕組みです。これは、高度な判断を行うために強力な計算能力が必要だからです。
具体的な動作としては、AIがあなたのブラウザ画面を「見て」、キーボードとマウスを使って操作します。人間がブラウザを使うときと同じように、リンクをクリックしたり、テキストを入力したり、ボタンを押したりします。ただし、パスワードなどの機密情報が必要な場合は、必ずユーザーに許可を求めます。
例えば、賃貸物件を探す作業を依頼した場合、AIは不動産サイトを開き、検索条件を入力し、複数の物件情報を比較して、結果をまとめます。この一連の作業を、人間が見守る必要なく自動で実行できます。ただし、実際に物件の申し込みボタンを押すような重要な決定は、必ず人間が最終確認を行います。
できること・できないこと
Auto Browseにより、ウェブ上の反復的で時間のかかる作業を自動化できます。例えば、複数のウェブサイトから特定の情報を収集してまとめる作業、オンラインフォームへの情報入力、商品の価格比較、旅行プランの調査などが可能です。賃貸物件探しでは、予算や立地条件を伝えれば、AIが複数のサイトを巡回して条件に合う物件をリストアップしてくれます。
また、画像編集機能も統合されており、ウェブ上の画像をダウンロードせずに直接編集できます。例えば、商品画像の背景を変更したり、サイズを調整したりといった作業が、ブラウザ内で完結します。
一方で、重要な制限もあります。最も大きいのは、購入や契約といった金銭的な決定を伴う操作は、AIが自動で完了させないことです。商品をカートに入れて購入画面まで進めることはできますが、最終的な購入ボタンは人間が押す必要があります。これは誤操作による損害を防ぐための安全措置です。また、1日の利用回数に制限があり、AI Proでは20回、AI Ultraでは200回までとなっています。現時点ではプレビュー版であり、すべての機能が完璧に動作するわけではありません。AIが判断に迷った場合や、予期しない画面に遭遇した場合は、人間に助けを求めます。
プライバシーとセキュリティの考慮事項
Auto Browseを使用する際、AIが操作するタブの内容はすべてGoogleのサーバーに送信されます。これは、AIが画面を「見て」判断するために必要な処理です。Googleは、この情報を「Gemini Apps Activity」に保存し、一時的にGoogleアカウントに記録すると説明しています。
ただし、具体的にどのデータがどれくらいの期間保存されるのか、またそのデータがAIモデルの訓練に使用されるのかについて、Googleは明確な回答を避けています。プライバシーを重視するユーザーにとっては、この点が懸念材料となる可能性があります。
セキュリティ面では、Googleは誤用を防ぐための複数の安全ルールを実装したと述べています。例えば、AIが勝手に商品を購入したり、重要な契約を結んだりすることはできません。また、パスワードなどの機密情報にアクセスする際は、必ずユーザーの許可を求めます。しかし、AIが予期しない動作をする可能性はゼロではないため、重要な作業を任せる際は注意が必要です。
私たちへの影響
このニュースは、日常的にウェブブラウザを使うすべての人に影響を与える可能性があります。特に、オンラインでの情報収集や比較作業に多くの時間を費やしている人にとっては、大幅な時間節約につながるでしょう。
短期的な影響としては、AI ProまたはAI Ultra会員であれば、すぐにこの機能を試すことができます。賃貸物件探し、旅行計画、商品比較、求人情報の収集など、これまで数時間かかっていた作業が数分で完了する可能性があります。ただし、月額料金が必要であり、無料ユーザーは現時点では利用できません。また、プレビュー版であるため、すべての作業が完璧に実行されるわけではなく、AIの判断を人間が確認する必要があります。
中長期的な影響としては、AIエージェントが日常的なブラウジング作業の標準的な方法になる可能性があります。今後、無料ユーザーにも機能が開放されれば、多くの人がAIに単純作業を任せるようになるでしょう。これにより、人間はより創造的で判断が必要な作業に集中できるようになります。一方で、AIが収集した情報の正確性を確認するスキルや、AIに適切な指示を出すスキルが、新たに重要になってくるでしょう。
ただし、プライバシーの観点からは注意が必要です。Auto Browseを使用すると、閲覧内容がGoogleに送信されるため、機密性の高い情報を扱う際は使用を控えるべきです。また、AIの判断ミスによる誤操作のリスクもあるため、重要な決定は必ず人間が最終確認を行う習慣をつけることが大切です。
