Google親会社が100年債発行、AI投資資金を調達―テック企業で30年ぶり

Googleの親会社Alphabetが2026年2月、100年債を発行。テック企業では約30年ぶりの超長期債で、AI投資の資金調達を加速。年間最大1850億ドルの設備投資計画を支える。

Google親会社が100年債発行、AI投資資金を調達―テック企業で30年ぶり

Googleの親会社であるAlphabetが2026年2月、100年債と呼ばれる超長期の社債を発行しました。100年債とは、償還期限が100年後に設定された債券のことです。テクノロジー企業がこのような超長期債を発行するのは、IBMが1996年に発行して以来、約30年ぶりとなります。今回の発行は、英ポンド建ての債券市場で行われ、同時に200億ドル規模の米ドル建て債券とスイスフラン建て債券も発行されました。米ドル建て債券は当初150億ドルの予定でしたが、投資家からの強い需要を受けて増額されています。この大規模な資金調達の背景には、AI技術への巨額投資があります。Alphabetは2026年に最大1850億ドル(約27兆円)を設備投資に充てる計画を発表しており、これは前年の約2倍に相当します。同社は年間売上高が初めて4000億ドルを超え、好調な業績を背景に、Gemini AIアシスタントへの需要拡大に対応するため、データセンターなどのインフラ整備を急速に進めています。

100年債発行の詳細と規模

Alphabetは今回、3つの通貨で同時に債券を発行する戦略を取りました。米ドル建てで200億ドル、英ポンド建てで100年債を含む複数の債券、そしてスイスフラン建ての債券です。米ドル建て債券は当初150億ドルの予定でしたが、投資家からの注文が殺到したため200億ドルに増額されました。

100年債は「センチュリーボンド」とも呼ばれ、極めて珍しい金融商品です。英ポンド建ての100年債市場では、オックスフォード大学、フランスの電力会社EDF、医学研究支援団体のウェルカムトラストの3機関しか発行実績がありません。最も新しいものでも2018年の発行です。テクノロジー業界では、多くの大手企業が最長でも40年債までしか発行しておらず、100年債の発行は極めて異例です。

取引に詳しい銀行関係者によると、複数通貨での発行は投資家層を広げるための戦略です。「米ドル市場だけで繰り返し資金調達を行うと、供給と需要のバランスが崩れる可能性がある」と説明しています。また、英ポンド市場での100年債発行は、金利が高い米ドル市場よりもコスト効率が良いという利点もあります。

背景と経緯

この大規模な資金調達の背景には、テクノロジー業界全体でのAI投資競争の激化があります。大手テック企業とその関連企業は、2026年だけで約7000億ドル(約102兆円)をAIインフラに投資すると予想されています。これは前例のない規模の投資です。

Alphabetは2024年11月にも、米国市場で175億ドルの債券を発行しました。この時には50年債も含まれており、2024年にテック企業が発行した米ドル建て債券としては最長期間でした。さらに欧州市場でも65億ユーロを調達しています。同社の長期債務は2025年に465億ドルに達し、前年の4倍以上に増加しました。ただし、年末時点で1268億ドルの現金および現金同等物を保有しています。

競合他社も同様の動きを見せています。データベース企業のOracleは先週、250億ドルの債券発行を行い、1250億ドルを超える注文を集めました。Amazon、Meta(旧Facebook)も最新の決算報告で設備投資計画の増額を発表しており、自社のキャッシュフローだけでこの支出を賄えるのかという疑問が投資家の間で浮上しています。

投資家の反応と市場の評価

今回の債券発行に対する投資家の反応は非常に好意的でした。特に短期の債券に人気が集中し、3年債は米国債に対して0.27パーセントポイント上乗せした利回りで発行されました。これは当初の価格協議での0.6パーセントポイントから大幅に低下しており、強い需要を示しています。

最長期間の40年債も、当初協議の1.2パーセントポイントから0.95パーセントポイントへと条件が改善されました。これは投資家がAlphabetの長期的な信用力を高く評価していることを意味します。

100年債は生命保険会社や年金基金にとって魅力的な投資対象です。これらの機関は長期的な資産を購入する義務があるため、超長期債は運用ニーズに合致します。ブレッキンリッジ・キャピタル・アドバイザーズの調査部門共同責任者ニコラス・エルフナー氏は、「テック企業にとって100年債は非常に珍しいが、このような買い手には魅力的だ」と述べています。

一方で、慎重な見方もあります。インパックス・アセット・マネジメントのシニア・ポートフォリオ・マネージャー、トニー・トルジンカ氏は、昨年Alphabetの債券を購入しましたが、今回の発行には参加しませんでした。「利回りが不十分で、AI投資に関連する複雑な財務義務を持つ企業への過度な投資を懸念している」と説明しています。同氏は「これらの超大規模事業者とその設備投資予算への投資比率を非常に意識している」と付け加えました。

AI投資の実態と資金需要

Alphabetが巨額の資金調達を行う理由は、AI技術への大規模投資にあります。同社は2026年に最大1850億ドルを設備投資に充てる計画で、これは2025年の約2倍に相当します。この投資の大部分は、データセンターの建設と拡張に向けられます。

データセンターとは、大量のコンピューターサーバーを収容し、クラウドサービスやAI処理を行うための巨大施設のことです。AI技術、特にGeminiのような大規模言語モデルは、膨大な計算能力を必要とします。例えば、ユーザーがGeminiに質問すると、その回答を生成するために数千台のサーバーが協調して動作します。このため、AI需要の増加に対応するには、より多くのデータセンターが必要になります。

Alphabetは直近の四半期決算で、年間売上高が初めて4000億ドルを突破したと発表しました。収益と利益は投資家の予想を上回り、Gemini AIアシスタントへの需要が急増していることが明らかになりました。この好調な業績が、大規模な設備投資を正当化する根拠となっています。

できること・できないこと

今回の100年債発行により、Alphabetは長期的な視点でAI投資を進めることが可能になります。100年という超長期の返済期限は、短期的な収益圧力を軽減し、研究開発や基盤整備に集中できる環境を作ります。例えば、データセンターの建設には数年かかり、投資回収にはさらに長い期間が必要です。100年債はこのような長期プロジェクトの資金源として適しています。

また、複数通貨での発行により、世界中の投資家から資金を集めることができます。米ドル市場だけに頼ると、同じ投資家に何度も債券を買ってもらう必要があり、需要が飽和する可能性があります。英ポンドやスイスフランでの発行は、欧州やアジアの投資家にもアクセスできるため、より広範な資金調達が可能です。

一方で、100年債には制約もあります。最も大きな課題は金利リスクです。100年という期間中に金利環境が大きく変化する可能性があり、発行時の条件が将来的に有利とは限りません。また、テクノロジー業界は変化が激しく、100年後にAlphabetがどのような形で存在しているかは予測困難です。投資家にとっても、これほど長期の投資は不確実性が高いと言えます。

さらに、債務の増加は財務の柔軟性を低下させる可能性があります。Alphabetの長期債務は前年比4倍以上に増加しており、今後も資金調達を続ければ、利払い負担が経営を圧迫するリスクがあります。ただし、現時点では1268億ドルの現金を保有しており、財務的な余裕は十分にあると言えるでしょう。

私たちへの影響

このニュースは、AI技術を日常的に使用する一般ユーザーから、テクノロジー業界で働く専門家、投資家まで、幅広い層に影響を与えます。

短期的な影響としては、GoogleのAIサービスの品質向上と機能拡張が期待できます。巨額の投資により、Gemini AIアシスタントの応答速度が向上し、より複雑な質問にも答えられるようになるでしょう。また、Google検索やGmail、Google Mapsなど、日常的に使うサービスにもAI機能が追加される可能性が高まります。例えば、メールの自動作成がより自然になったり、地図アプリがより賢い経路提案をしてくれたりするかもしれません。

中長期的な影響としては、AI技術の民主化が進む可能性があります。Alphabetが大規模なインフラを構築すれば、中小企業や個人開発者もクラウドサービスを通じて高度なAI技術を利用できるようになります。これにより、新しいビジネスやサービスが生まれ、経済全体の生産性が向上するでしょう。また、教育や医療などの分野でもAI活用が進み、社会的な恩恵が広がることが期待されます。

ただし、注意すべき点もあります。大手テック企業によるAI投資の集中は、市場の寡占化を加速させる可能性があります。Alphabet、Amazon、Metaなどの巨大企業だけが巨額投資を行える状況では、新興企業が競争することが難しくなります。また、データセンターの増設は大量の電力を消費するため、環境への影響も懸念されます。Alphabetは再生可能エネルギーの利用を進めていますが、AI需要の急増に対応できるかは不透明です。投資家にとっては、テック企業の債務増加が将来的な財務リスクになる可能性も考慮する必要があるでしょう。

出典:Alphabet selling very rare 100-year bonds to help fund AI investment(arstechnica.com)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です