GoogleがGmailのAI学習疑惑を否定、スマート機能の自動有効化に注意

Googleが2025年11月、GmailユーザーのメールをAI学習に使用しているとの疑惑を否定。集団訴訟が提起されたが、同社は設定変更の事実はないと主張。スマート機能の自動有効化には注意が必要。

GoogleがGmailのAI学習疑惑を否定、スマート機能の自動有効化に注意

2025年11月23日、Googleは、Gmailユーザーの個人メールをAIモデルの学習に使用しているという疑惑を正式に否定しました。この疑惑は、同月11日にカリフォルニア州サンノゼの連邦裁判所に提起された集団訴訟をきっかけに広まったものです。訴訟では、Googleが2025年10月10日頃にGemini AIへのアクセスを密かに有効化し、ユーザーの同意なくGmail、Chat、Meetの個人通信を追跡していると主張されています。しかし、Googleの広報担当者は「これらの報道は誤解を招くものです。私たちは誰の設定も変更していません。Gmailのスマート機能は何年も前から存在しており、GeminiモデルのトレーニングにGmailのコンテンツを使用していません」と明確に否定しました。ただし、スマート作成、スマート返信、予測テキストなどの機能が自動的に有効化されている点については、ユーザー自身で確認し、必要に応じてオプトアウトすることが推奨されています。この問題は、AI時代におけるプライバシー保護と利便性のバランスという、私たち全員に関わる重要なテーマを提起しています。

疑惑の発端と訴訟の内容

今回の騒動は、2025年11月11日に提起された集団訴訟から始まりました。訴訟では、Googleが2025年10月10日頃、Gmail、Chat、Meetのすべてのユーザーアカウントに対して、Gemini AIを密かに有効化したと主張されています。Gemini AIとは、Googleが開発した大規模言語モデルで、文章生成や質問応答などを行うAIシステムのことです。訴訟の原告側は、この変更がユーザーの知識や同意なしに行われ、カリフォルニア州プライバシー侵害法に違反する可能性があると指摘しています。

訴状によれば、Googleはユーザーに対してこの変更を明示的に通知せず、オプトアウトするには自分で設定を見つけて無効化する必要があるとされています。Bloomberg通信が11月12日に報じたことで、この訴訟は広く知られるようになりました。訴訟では、ユーザーがこのようなAI追跡に「同意」したことは一度もないにもかかわらず、デフォルトで有効化されていると主張されています。

Googleの公式見解と事実関係

Googleは、これらの疑惑に対して明確に否定する声明を発表しました。同社の広報担当者は「Gmailのスマート機能は何年も前から存在しており、GeminiモデルのトレーニングにGmailのコンテンツを使用していません」と説明しています。さらに、「利用規約やポリシーに変更を加える場合は、常に透明性を持って明確に伝えています」と付け加えました。

この問題を最初に報じたセキュリティ企業Malwarebytesも、後に記事を更新し、誤解があったことを認めています。同社は「Gmailのスマート機能に関する設定自体は新しいものではありませんが、Googleが最近、文言と表示方法を変更したことで、多くの人々(私たちを含む)がGmailのコンテンツがAIモデルのトレーニングに使用される可能性があると誤解しました」と説明しています。Googleのドキュメントや他の報道を詳しく調査した結果、実際にはそうではないことが判明したとしています。

ただし、Gmailがスパムフィルタリング、メール分類、文章提案などのスマート機能を提供するために、メールの内容をスキャンしていることは事実です。しかし、これは「通常の」動作であり、AIトレーニングのためのデータ使用とは異なるとMalwarebytesは説明しています。

自動有効化されている3つの設定

問題となっているのは、主に3つの設定です。ZDNETの調査によれば、これらの設定は新規作成されたアカウントを含め、デフォルトで自動的に有効化されていることが確認されました。

1つ目は「Gmail、Chat、Meetでスマート機能を有効にする」という設定です。これを有効にすると、Googleはこれらの製品内のコンテンツを使用して、スマート機能を提供し、ユーザー体験をパーソナライズできます。具体的には、メール作成時の文章提案や、返信候補の自動表示などが含まれます。

2つ目は「Google Workspaceのスマート機能」です。Google Workspaceとは、Gmail、Chat、Meet、Driveなどを含む、企業や学校向けのアプリケーション群のことです。この設定を有効にすると、Gmailからカレンダーにフライト情報や招待状などのイベントが自動表示されたり、キーワード提案やファイル提案を使ったより関連性の高い検索結果が得られたりします。また、Geminiにコンテンツの要約、下書きの作成、重要情報の検索などを依頼できるようになります。

3つ目は「他のGoogle製品でのスマート機能」です。これを有効にすると、Workspaceのコンテンツとアクティビティを使って、他のGoogle製品でもパーソナライズされた体験が提供されます。例えば、Googleマップでのレストラン予約やテイクアウト注文の表示、Google Walletでのチケットやポイントカードの管理、Googleアシスタントでの回答やリマインダー、Geminiアプリでの提案や回答などが含まれます。

できること・できないこと

これらのスマート機能により、日常的なメール作業やスケジュール管理が大幅に効率化されます。例えば、メールを書いている途中で次に入力する文章を予測して提案してくれたり、受信したメールに対して適切な返信候補を自動的に表示してくれたりします。また、Gmailに届いたフライト予約確認メールから自動的にカレンダーに予定を追加したり、レストラン予約の情報をGoogleマップで確認できるようにしたりすることも可能です。

一方で、これらの機能を利用するには、Googleがあなたのメール内容やアクティビティにアクセスする必要があります。Googleは「GeminiモデルのトレーニングにはGmailのコンテンツを使用していない」と明言していますが、スマート機能を提供するためにメール内容をスキャンしていることは事実です。プライバシーを最優先したい場合は、これらの機能を無効化することができますが、その場合はスマート作成やスマート返信などの便利な機能が使えなくなります。

また、The Vergeの報道によれば、一度オプトアウトした設定が再び有効化されていたというケースも報告されています。そのため、設定を変更した後も、定期的に確認することが推奨されます。

私たちへの影響

このニュースは、Gmailを使用しているすべてのユーザーに影響を与えます。特に、個人情報やビジネス上の機密情報をメールでやり取りしている人にとっては、自分のデータがどのように使用されているかを理解することが重要です。

短期的な影響については、まず自分のGmailアカウントでこれらの3つの設定がどうなっているかを確認することをお勧めします。デスクトップ版Gmailでは、右上の歯車アイコンから「すべての設定を表示」を選択し、「全般」タブの「スマート機能」セクションで確認できます。モバイルアプリでは、左上の三本線メニューから「設定」を選択し、「データプライバシー」(iOS)または自分のGoogleアカウント名(Android)をタップして確認できます。

中長期的な影響としては、AI技術の発展に伴い、このようなプライバシーと利便性のトレードオフに関する議論がさらに活発になることが予想されます。今回の訴訟の結果次第では、Googleや他のテクノロジー企業がユーザーデータの使用方法についてより透明性を高める必要が出てくるかもしれません。また、ユーザー側も、便利な機能を使う代わりにどのようなデータアクセスを許可しているのかを、より意識的に判断する必要があるでしょう。

ただし、これらの設定をすべて無効化しても、Gmail自体は通常通り機能します。最終的には、利便性とプライバシーのどちらを優先するかは、各ユーザー自身が決める必要があります。重要なのは、選択肢があることを知り、自分で判断できる状態にあることです。

出典:Google denies analyzing your emails for AI training – here’s what happened(www.zdnet.com)

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