LenovoとMotorolaが新AIアシスタント「Qira」発表、アプリ操作を自動実行

LenovoとMotorolaが2026年1月、複数デバイスで動作するAIアシスタント「Qira」を発表。アプリを実際に操作してタスクを完了する点が特徴。AI搭載ウェアラブルピンも試作品として公開。

LenovoとMotorolaが新AIアシスタント「Qira」発表、アプリ操作を自動実行

LenovoとMotorolaは2026年1月6日、米国ラスベガスで開催中のCES 2026で、新しいAIアシスタント「Qira(キラ)」を発表しました。Qiraは、スマートフォン、パソコン、タブレット、ウェアラブル端末など、両社の幅広い製品で動作するAIアシスタントです。従来のChatGPTのようなチャットボットとは異なり、実際にアプリを操作してタスクを完了できる点が大きな特徴となっています。例えば、デバイス間でファイルを転送したり、配車アプリを開いて目的地を入力し車を手配したりといった作業を、ユーザーに代わって実行します。Lenovo AI Ecosystemグループの副社長Dan Dery氏は「Qiraは単なるアシスタントではなく、デバイス全体で継続的かつ自然に機能する新しい知能の形です」と説明しています。2026年第1四半期にまずLenovo製品で展開され、その後Motorolaのスマートフォンにも拡大される予定です。

Qiraの主な機能と特徴

Qiraは「パーソナル・アンビエント・インテリジェンス・システム」と呼ばれる仕組みです。アンビエント・インテリジェンスとは、周囲の状況を理解し、複数のデバイスで利用できる知能のことです。Qiraは、ユーザーが選択した操作履歴、ドキュメント、記憶をデバイス全体から統合し、「融合知識ベース」と呼ばれるものを構築します。これにより、ユーザーの世界を理解した「生きたモデル」を作り上げます。

この仕組みにより、ユーザーは作業を切り替える必要がなく、最小限の説明でタスクを完了できます。例えば「Next Move」機能は、現在の作業に合わせた提案を行います。「Catch Me Up」機能は、不在中に何が起きたかをまとめて教えてくれます。これらの機能は、ユーザーが何をしているかを理解した上で、適切な支援を提供します。

プライバシー保護については、可能な限りデバイス内で処理を行い、個人データをローカルに保持する設計となっています。クラウドへの送信が必要な場合でも、堅牢な保護機能を備えた安全なクラウドサービスを利用するとLenovoは説明しています。

従来のAIアシスタントとの違い

従来のAIアシスタントは、主に質問に答えたり情報を提供したりする役割でした。例えばChatGPTは優れた会話能力を持ちますが、実際にアプリを操作することはできません。ユーザーが「タクシーを呼んで」と頼んでも、配車アプリの使い方を説明するだけで、実際に車を手配することはできませんでした。

Qiraはこの点が大きく異なります。ユーザーの指示を受けると、実際にアプリを開き、必要な情報を入力し、操作を完了します。配車アプリの例では、アプリを起動し、目的地を入力し、支払い方法を選択し、配車リクエストを送信するまでの全工程を自動で行います。メッセージ送信の場合も、メッセージアプリを開き、連絡先を選び、テキストを入力し、送信ボタンを押すという一連の操作を実行します。

この「エージェント型AI」と呼ばれる機能により、ユーザーは画面を見たり操作したりする必要がなくなります。ただし、希望すれば、Qiraがどのように考えて各ステップを実行しているかを画面で確認することもできます。

AI搭載ウェアラブルピン「Project Maxwell」

Motorolaの研究部門312 Labsは、Qiraを搭載したウェアラブルピン「Project Maxwell」の試作品も公開しました。これは「AI知覚コンパニオン」と呼ばれるコンセプト製品です。ピンにはカメラが搭載されており、ユーザーが見ているものをQiraが理解して支援を提供します。背面は磁石になっており、チェーン付きでネックレスとしても使用できます。

過去にもAIピンは試みられましたが、多くは失敗に終わりました。Project Maxwellは、スマートフォンを取り出したくない時の補助的な役割に焦点を当てています。デモンストレーションでは、道案内の取得、配車サービスの手配、メッセージ送信などのタスクを、スマートフォンを取り出すことなく音声だけで完了させました。

重要なのは、これらのタスクをどのように実行したかです。ユーザーはピンに話しかけるだけで、Qiraが実際のアプリを操作してタスクを完了します。軽量で便利な形状に、実用的なエージェント型支援機能を組み合わせた製品として、日常の便利なパートナーになる可能性があります。ただし、これは試作品であり、製品化の時期は未定です。

できること・できないこと

Qiraにより、デバイス間でのファイル転送、アプリを使った配車手配、メッセージ送信、現在の作業に基づいた提案の受け取り、不在中の出来事のまとめ確認などが可能になります。例えば、パソコンで作業中に「このファイルをスマートフォンに送って」と指示すれば、Qiraが自動的に転送を実行します。外出先で「家までタクシーを呼んで」と言えば、配車アプリを操作して車を手配します。

一方で、現時点では対応デバイスがLenovoとMotorolaの製品に限られます。他社製品との連携はできません。また、Project Maxwellはまだ試作段階であり、一般販売の予定は発表されていません。エージェント型AIの技術自体も発展途上であり、複雑なタスクや予期しない状況への対応には限界があります。完全に自律的に動作するAIの実現には、まだ数年かかると専門家は指摘しています。

私たちへの影響

このニュースは、LenovoやMotorolaの製品を使用している人、またはこれから購入を検討している人に直接的な影響を与えます。2026年第1四半期以降、対応デバイスでQiraが利用可能になれば、日常的なタスクの効率が大幅に向上する可能性があります。

短期的な影響については、まず一部のLenovo製品でQiraが展開され、その後Motorolaのスマートフォンに拡大されます。初期段階では機能や対応アプリが限られる可能性がありますが、徐々に拡充されていくでしょう。中長期的な影響としては、AIアシスタントの役割が「質問に答える」から「実際に作業を行う」へと大きく変化することが予想されます。これにより、スマートフォンやパソコンの使い方そのものが変わる可能性があります。

ただし、プライバシーとセキュリティには注意が必要です。Qiraは多くの個人情報にアクセスし、アプリを操作する権限を持ちます。Lenovoはプライバシー保護を重視していると説明していますが、ユーザー自身も設定を確認し、どの情報を共有するか慎重に判断する必要があります。また、エージェント型AIが誤った操作を行うリスクもゼロではないため、重要なタスクでは確認を怠らないことが大切です。

出典:Lenovo’s new AI assistant may give Copilot and Gemini some serious competition(www.zdnet.com)

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