OpenAIが2025年5月に買収したジョニー・アイブ氏の企業「io」の名称を、AI機器の製品名に使わないことが判明。商標訴訟の裁判資料で明らかに。初の機器は2027年2月以降に発売予定。
OpenAI、AI機器の名称「io」を断念 商標訴訟で明らかに
OpenAIは、開発中のAI機器に「io」という名称を使用しないことを決定しました。これは2025年2月3日に提出された裁判資料で明らかになりました。OpenAIは2025年5月に、元アップルのデザイナーとして知られるジョニー・アイブ氏のスタートアップ企業「io」を65億ドル(約9,750億円)で買収していました。しかし、音響機器メーカーのiyOが商標権侵害で訴訟を起こしたことで、名称変更を余儀なくされました。裁判資料によると、OpenAIの初のAI機器は2027年2月末以降まで出荷されない見込みです。当初は2026年後半の発表を予定していましたが、スケジュールが大幅に遅れることになります。この訴訟により、OpenAIが計画していた製品の詳細が意図せず明らかになっています。
名称使用の断念を正式表明
OpenAIの副社長兼ゼネラルマネージャーであるピーター・ウェリンダー氏は、裁判所への提出書類の中で、製品命名戦略を見直した結果を報告しました。同氏によると、OpenAIは「io」という名称を、AI機能を搭載したハードウェア製品の命名、広告、マーケティング、販売のいずれにおいても使用しないことを決定しました。これには「IYO」や、大文字小文字を変えたあらゆる表記も含まれます。
この決定は、音響機器スタートアップ企業iyOが2024年に起こした商標権侵害訴訟への対応として行われました。iyOは、OpenAIがジョニー・アイブ氏のスタートアップ「io」を買収した後、自社の商標権が侵害されたとして訴訟を提起していました。
製品発売は2027年2月以降に延期
今回の裁判資料により、OpenAIのAI機器開発の具体的なスケジュールも明らかになりました。ウェリンダー氏は、OpenAIが市場投入のタイムラインをより正確に把握できるようになったと述べています。同社の初のハードウェア機器は、2027年2月末より前に顧客へ出荷されることはないとしています。
これまでOpenAIは、2026年後半にAI機器を発表する計画を公表していました。しかし、実際の製品出荷は当初の予定から少なくとも数か月遅れることになります。また、ウェリンダー氏によると、OpenAIはまだ初のハードウェア機器のパッケージやマーケティング資料を作成していないとのことです。これは、製品開発がまだ初期段階にあることを示唆しています。
背景と経緯
OpenAIは2025年5月、ジョニー・アイブ氏の秘密裏に進められていた消費者向けハードウェア子会社を65億ドルで買収すると発表しました。これはOpenAI史上最大の買収案件でした。ジョニー・アイブ氏は、iPhoneやiPadなど、アップルの象徴的な製品をデザインしたことで世界的に知られる人物です。
当時、「io」は、OpenAIと統合してAI機器のファミリーを生み出す新会社として宣伝されていました。しかし、買収発表後まもなく、音響機器メーカーのiyOが商標権侵害訴訟を起こしました。iyOは、OpenAIとioの幹部が買収発表前にiyOの経営陣と会い、同社のAI音響技術をテストしていたと主張しています。
この訴訟は、OpenAIが公開したくなかった製品情報を明らかにする結果となっています。以前の裁判資料では、サム・アルトマンCEOがioの発表動画で言及した試作品が「耳に装着する機器でも、身につける機器でもない」ことが明らかになっていました。
計画されている機器の詳細
報道によると、OpenAIの初のAI機器は、画面を持たない卓上型の機器になる予定です。この機器は、ユーザーの机の上に置いて使用し、スマートフォンやノートパソコンと併用することを想定しています。画面を持たないということは、音声やその他の方法でユーザーとやり取りする設計になっていると考えられます。
具体的な機能や使用方法については、まだ公式には明らかにされていません。しかし、OpenAIのAI技術であるChatGPTを活用した、新しい形のコンピューティング体験を提供することが期待されています。ジョニー・アイブ氏の関与により、デザイン面でも革新的な製品になる可能性があります。
偽広告の拡散と混乱
OpenAIのハードウェア開発をめぐっては、根拠のない噂も広がっています。2025年2月初旬の週末、OpenAIがスーパーボウルで製品発表の広告を流す予定だったが取りやめたという、虚偽の情報がReddit上で拡散しました。
投稿された偽の広告動画には、俳優のアレクサンダー・スカルスガルド氏が銀色のヘッドホンを装着し、反射する円盤状の機器をタップする様子が映っていました。この動画はソーシャルメディア上で広く共有され、Redditの共同創業者アレクシス・オハニアン氏も拡散に加わりました。
しかし、OpenAIの広報担当者リンゼイ・マッカラム氏は、この広告とOpenAIは一切関係がないことを確認しました。このような偽情報の拡散は、OpenAIのハードウェア製品への関心の高さを示す一方で、正確な情報が不足していることも浮き彫りにしています。
できること・できないこと
現時点では、OpenAIのAI機器が具体的にどのような機能を提供するかは明らかになっていません。画面を持たない卓上型の機器という情報から、音声を中心としたインタラクションが主になると予想されます。例えば、ChatGPTとの自然な会話を通じて情報を得たり、タスクを実行したりすることが考えられます。また、スマートフォンやノートパソコンと連携して、より統合されたAI体験を提供する可能性もあります。
一方で、製品の出荷は2027年2月末以降となるため、実際に使えるようになるまでにはまだ2年以上の時間があります。パッケージやマーケティング資料もまだ作成されていないことから、製品の仕様や機能は今後も変更される可能性があります。また、商標問題により製品名も変更されるため、ブランディング戦略も一から練り直す必要があるでしょう。
私たちへの影響
このニュースは、AI技術の進化と、それを日常生活に取り入れる新しい方法に関心を持つ人々に影響を与えます。OpenAIとジョニー・アイブ氏という、AI業界とデザイン業界のトップが組んだプロジェクトだけに、期待は大きいものがあります。
短期的には、製品の発売が2027年まで延期されたことで、すぐに新しいAI機器を試すことはできません。しかし、この期間を使ってOpenAIがより洗練された製品を開発する可能性もあります。商標問題の解決により、法的なリスクのない状態で製品を市場に投入できることは、長期的には良い結果につながるかもしれません。
ただし、AI機器市場は急速に進化しており、2027年までに競合他社が類似の製品を先に発売する可能性もあります。OpenAIがどのような差別化を図り、どのような価値を提供するかが、今後の注目点となるでしょう。また、価格や入手方法についても、まだ情報がないため、実際にどの程度の人が利用できるかは不明です。
