PlaudがCES 2025に先駆けて新型AIピン「NotePin S」とデスクトップ会議記録アプリを発表。物理ボタンで録音操作が可能になり、オンライン会議の文字起こしにも対応。ビジネスパーソンの議事録作成を効率化します。
Plaud、物理ボタン搭載の新型AIピン「NotePin S」を発表―デスクトップ会議記録アプリも提供開始
AIハードウェアメーカーのPlaud(プラウド)は2025年1月4日、ラスベガスで開催される家電見本市CES 2025に先駆けて、新型AIノートテイカー「Plaud NotePin S」とデスクトップ会議記録アプリを発表しました。NotePin Sは、同社が2024年に発売したピン型ノートテイカーの後継機種で、録音の開始・停止を操作できる物理ボタンを新たに搭載しています。録音中にボタンをタップすることで、重要なポイントをマークする機能も追加されました。この機能は、同社が最近発売した上位機種「Note Pro」にも搭載されているものです。
Plaudはこれまで対面会議向けのデバイスに注力してきましたが、今回のデスクトップアプリの提供開始により、GranolaやFathom、Firefliesといったオンライン会議記録サービスとの競争に本格参入します。同社はこれまでに150万台以上のデバイスを販売しており、今回が4製品目の発表となります。新製品は、常に移動しているビジネスパーソンや、オンライン会議が多い働き方をしている人々にとって、議事録作成の負担を大幅に軽減するツールとなるでしょう。
NotePin Sの主な特徴と価格
Plaud NotePin Sの価格は179ドル(約2万6千円)で、パッケージにはクリップ、ストラップ、マグネットピン、リストバンドの4種類の装着アクセサリーが同梱されています。これにより、ユーザーは自分の好みや使用シーンに応じて、胸ポケットに挟んだり、首から下げたり、服に留めたり、手首に巻いたりと、さまざまな方法でデバイスを身につけることができます。
新たに追加された物理ボタンは、録音操作を直感的に行えるようにするための改良です。従来モデルではスマートフォンアプリから操作する必要がありましたが、NotePin Sではデバイス本体のボタンを押すだけで録音を開始・停止できます。さらに、録音中にボタンをタップすることで、その時点を重要なポイントとしてマークできます。これは会議中に「ここは重要だ」と思った瞬間を後から簡単に見つけられるようにする機能です。
また、Apple Find My機能にも対応しました。これは、iPhoneの「探す」アプリでAirTagを探すのと同じように、NotePin Sの位置を追跡できる機能です。小型デバイスは紛失しやすいため、この機能は実用的な追加といえるでしょう。
技術仕様と録音性能
NotePin Sの基本的な技術仕様は前世代モデルから変更されていません。デバイスには64GBの内蔵ストレージが搭載されており、連続20時間の録音が可能なバッテリーを備えています。音声の録音には、MEMS(メムス、Micro-Electro-Mechanical Systemsの略)と呼ばれる微小電気機械システムを使った2つのマイクが使用されています。このマイクは、デバイスから約3メートル(9.8フィート)の範囲内であれば、クリアな音声を録音できます。
ユーザーは毎月300分の文字起こしを無料で利用できます。これは1日あたり約10分、または1時間の会議を月に5回文字起こしできる計算です。それ以上の利用には有料プランへの加入が必要になります。
上位機種のNote Proと比較すると、NotePin Sは録音範囲が短く、バッテリー持続時間も短くなっています。しかし、その分サイズが小さく、前述の4種類のアクセサリーで身につけやすい設計になっています。Plaudは、このデバイスが常に移動しているビジネスパーソンに適していると説明しています。
デスクトップ会議記録アプリの登場
Plaudは今回、NotePin Sと同時にデスクトップアプリも発表しました。このアプリは、ZoomやMicrosoft Teams、Google Meetなどのオンライン会議ツール全般で動作し、会議の音声を自動的に録音して文字起こしを行います。アプリは会議が開始されたことを検知し、ユーザーに録音を開始するかどうかを尋ねるプロンプトを表示します。
Mac版アプリは、システムオーディオ(コンピュータから出力される音声)を使って会議を録音します。これにより、会議の参加者全員の発言を確実に記録できます。録音された音声は、AIによって自動的に構造化された議事録に変換されます。つまり、単なる文字起こしではなく、話題ごとに整理された読みやすいノートが作成されるということです。
Plaudは2024年に、音声録音だけでなく画像や手入力のメモも追加できるマルチモーダル入力機能を導入しました。この機能により、会議中にホワイトボードの写真を撮ったり、自分の考えをテキストで追加したりしながら、音声録音と一緒に統合された議事録を作成できます。今回のデスクトップアプリにも、この機能が搭載されています。
競合サービスとの違い
オンライン会議の文字起こしサービス市場には、すでにGranola、Fathom、Firefliesといった競合サービスが存在します。これらのサービスも会議の自動録音と文字起こし、AIによる要約機能を提供しています。
Plaudの強みは、ハードウェアとソフトウェアの両方を提供している点です。NotePin Sのような物理デバイスは対面会議で使用でき、デスクトップアプリはオンライン会議で使用できます。つまり、ユーザーは同じPlaudのエコシステム内で、あらゆる種類の会議を記録できるということです。これは、対面とオンラインの両方の会議に参加することが多い現代のビジネスパーソンにとって、一貫した体験を提供できる利点となります。
また、Plaudはこれまでに150万台以上のデバイスを販売しており、すでに大きなユーザーベースを持っています。既存のハードウェアユーザーがデスクトップアプリも使い始めれば、競合サービスに対して優位に立てる可能性があります。
できること・できないこと
NotePin Sとデスクトップアプリにより、ビジネスパーソンは会議の議事録作成を大幅に効率化できます。例えば、対面での商談や打ち合わせではNotePin Sを胸ポケットに挟んでおくだけで、自動的に会議内容が録音され、後から文字起こしされた議事録を確認できます。オンライン会議では、デスクトップアプリが会議の開始を検知して録音を提案してくれるため、録音を忘れる心配がありません。物理ボタンで重要なポイントをマークしておけば、長い会議の中から重要な部分だけを後で素早く見つけることができます。
一方で、いくつかの制約もあります。NotePin Sの録音範囲は約3メートルなので、大きな会議室や複数のグループに分かれた会議では、すべての発言を明瞭に録音できない可能性があります。また、無料プランでは月300分までしか文字起こしができないため、会議が多い人は有料プランへの加入が必要になるでしょう。バッテリー持続時間は20時間ですが、充電を忘れると使えなくなるため、定期的な充電管理が必要です。デスクトップアプリは現時点ではMac版のみが発表されており、Windows版については言及されていません。
私たちへの影響
このニュースは、会議が多いビジネスパーソンや、議事録作成に時間を取られている人々に大きな影響を与えます。従来、会議の内容を記録するには、会議中にメモを取るか、後から記憶を頼りに議事録を作成する必要がありました。しかし、メモを取ることに集中すると会議の内容に集中できず、記憶に頼ると重要な詳細を見落とす可能性がありました。
短期的な影響としては、議事録作成の時間が大幅に削減されることが期待できます。会議後に30分から1時間かけて議事録を作成していた作業が、AIによる自動文字起こしと要約により、数分の確認作業だけで済むようになるでしょう。また、物理ボタンで重要なポイントをマークできる機能により、長い会議の中から必要な情報を素早く見つけられるようになります。
中長期的な影響としては、会議の質そのものが向上する可能性があります。参加者全員が「後で録音を確認できる」という安心感を持てれば、メモを取ることに気を取られず、議論そのものに集中できるようになります。また、会議の内容が正確に記録されることで、「言った・言わない」の問題を防ぎ、決定事項や行動計画が明確になるでしょう。
ただし、会議の録音には参加者全員の同意が必要な場合があります。特にビジネス上の機密情報を扱う会議や、プライバシーに配慮が必要な場面では、録音の可否を事前に確認することが重要です。また、AIによる文字起こしは完璧ではなく、専門用語や固有名詞、複数人が同時に話す場面などでは誤認識が発生する可能性があります。そのため、重要な会議の議事録は、AIが生成したものを人間が確認・修正するプロセスが引き続き必要になるでしょう。
